2022年9月27日
自分なりの考えで「なぜ?」に答えてみる
十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ
学芸員 小林誠
十日町市立里山科学館「森の学校」キョロロは、雪国の里山のど真ん中に位置する里山の生物多様性をテーマとした参加体験型の自然科学館です。当館では土日を中心に年間約150回、約30種類の自然体験イベントを開催しています。その中でも近年人気を博しているイベントの一つが、探求体験で楽しく科学を感じてもらう「キョロロ生物部」です。
2020-2022年にかけて小中高校では新学習指導要領がスタートし、特に「探求的な学び」に重点が置かれました。当館は理科や総合的な学習の時間、また修学旅行での利用も多いため、学校教育の場における学習のキーワードやニーズを、博物館教育と連携・連動させるソフト事業に近年力を入れています。
「キョロロ生物部」は探求型の自然体験イベントで、仮説とその検証の体験から科学を楽しく感じてもらうことを目的としています。毎回里山の生き物を材料に「予想する」「調べる」「考察する」という科学的な思考を体験し、自分なりの考えで「なぜ?」に答えてみることに挑戦していきます。科学の考え方を楽しく学ぶ体験を通じて、子どもたちの「探究する力」の育成を目指しています。
毎回「観察する」「数える」「比べる」「分ける」など科学的に自然を理解するための様々な方法をテーマとします。例えば「観察する」をテーマとした回では、ビオトープで様々な水生生物を採集・観察し、「生き物にはなぜ、似ているところ・違うところがあるんだろう?」について考えました。「数える」をテーマとした回では、一握りの土の中にいる生き物の数を予想し、実際に種類や個体数を数え、「生き物の多い・少ない土って、どんな土だろう?」について考えました。「比べる」をテーマとした回では、アメリカザリガニが侵入した・していない池で水生生物を比べ、「ザリガニのいる池は、なぜ他の生き物が少ないのだろう?」について考えました。各回ともワークシートを用意し、自分の観察結果をもとに「なぜ?〇〇なんだろう?」について自分なりの考えを導き、発表することに挑戦しています。
このイベントで用意する「なぜ?〇〇なんだろう」という問いは、研究者でも答えることが難しいものもあります。しかし、「正しい答え」を追求することよりも、「疑問を持ち、結果をもとに考える」プロセスを大事にしているため、このイベントでは結論はみんな違って良し、間違っていても良しなのです。
参加者や保護者からは「自分の観察を元に謎を解くことにワクワクする」「学校では正解が一つだが、子どもたちの多様なアウトプットを認めてもらえてうれしい」などご感想をいただいています。博物館には「答えを学ぶ場」だけではなく、「答えの導き方、理解の仕方を学ぶ場」という機能があります。「調べるって、楽しいんだ」そんな感覚を博物館で感じてもらうことから、子どもたちの探求する力を後押したいと考えています。
十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ
〒942-1411
新潟県十日町市松之山松口1712-2
- 問合せ
- 025-595-8311
- 交通
- バスでお越しの場合:
- ほくほく線・まつだい駅から
- まつだい駅→堺松(徒歩約20分)
- ※冬季は「松之山分校前」下車(徒歩約30分)です。
- タクシーでお越しの場合:
- ほくほく線・まつだい駅から
- まつだい駅→キョロロ(約15分)
- ※東部タクシー(電話:025-597-2254)
- 開館時間
- 9:00~17:00(最終入館16:30)
- 休館日
- 毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)、12月26日~31日
- ※展示入れ替えに伴う臨時休館日があります。
- 観覧料
- 一般(高校生以上)500円、中学生以下無料
- ホームページ
- https://www.matsunoyama.com/kyororo/