2023年3月17日
「子ども向けパネルはじめました」
横倉山自然の森博物館学芸員 宮地萌
横倉山自然の森博物館は高知県高岡郡越知町にある町立の施設です。近年は小学校などへのチラシ配りに力を入れていることもあり、以前より多くの親子連れが遊びに来てくれるようになりました。ところが、開館して25年を過ぎた博物館の展示パネルやキャプションは当初からほとんど変わっていません。ルビも少なく難しい漢字だらけ、文字も小さくて子ども向けといえる状態ではありませんでした。そこで立ち上がったのが、横倉山自然の森博物館友の会『フォレスト・クラブ』でした。

キッズパネル作成の様子
フォレスト・クラブではまず、大人向けの展示だらけの博物館に、子どもが興味関心を向けやすい展示ツールを作ることを目指す実行委員会を作りました。中心になったのは高知大のOBや四国で子ども向けの教育活動を行っている人たちです。そして、集まった人で話し合った結果、子ども向けの展示解説パネル(キッズパネル)やワークシートを作ろうと決めます。活動資金は高知県の補助金を申請して獲得しました。
また、これまでにキッズパネルを作った経験を持つNPO法人大阪自然史センターから講師を招き展示改善のワークショップなどを行うことにしました。
2021年11月29日~30日にかけて、ワークショップは開催されました。29日、まず全員が付箋をもって博物館内の3つのエリアを見学して回ります。そして展示物の問題点や改善案を付箋に記入して展示に貼ります。貼り付けた付箋を集めて議論し、課題や問題点を洗い出しました。その後エリアごとに班を作り、課題に合わせてキッズパネルやワークシートを作成しました。30日は成果物の鑑賞と意見交換を行いました。参加者の中には県内のデザイナーも同席しており、その方に最終的なレイアウト調整などを依頼しました。

来館者の声について議論する様子
キッズパネルやワークシートを設置するにあたって、設置前と設置後で来館者の動きの変化を調べることもしました。展示室での滞在時間、発話の頻度から①展示資料に対する理解度、②親しみやすさ、③満足度がどのように変化したのかを明らかにするためです。具体的には一般来場者(親子、家族連れ)を対象として展示室での行動を追跡し、立ち止まった秒数や滞在時間を記録しました。調査は学芸員実習生や地域おこし協力隊のみなさんにも参加していただき、事前、事後調査ともに50サンプル以上のデータを集めることができました。

アカガシの森エリアのキッズパネル

横倉山のおいたちエリアのキッズパネル
結果として聞かれた声の中には「子ども向けの解説があってうれしい」「子どもたちがこれまで以上に展示を見ていた」といった意見がありました。また、新規展示物の関係で事前調査に比べて事後調査は調査エリアの面積が半分になったにも関わらず、来館者の滞在時間は変わりませんでした。

地球の歴史エリアのキッズパネル
以上のように相対的に見て滞在時間は増加し、展示の理解が向上したこと、町内や町外からのリピーターから好意的な評価を得たこと、また、実行委員会形式で取り組んだことで町外の協力者や、町内には少ない世代が博物館と関わりを持ってくれたことは、これからの博物館にとって大きな財産となりました。
横倉山自然の森博物館
〒781-1303
高知県高岡郡越知町越知丙737番地12
- 問合せ
- 0889-26-1060
- 交通
- 公共交通機関の場合
- 高知~佐川 JR特急で約30分
- JR普通で約50分
- 佐川~越知 黒岩観光バスで約15分
- バス停「宮の前」下車 徒歩5分
- 開館時間
- 午前9時~午後5時(入場は午後4時30分まで)
- 休館日
- 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
- 12月29日から翌年の1月3日まで休館。
- 入館料
-
- 大人
- 500円(400円)
- 高校・大学生
- 400円(300円)
- 小学・中学生
- 200円(100円)
- ( )内はご入館者が20名以上の団体料金です。
- ※団体様(20名以下も含む)は必ず事前に電話かメールにてご予約をお願いいたします。駐車場の確保やその他ご入館ができない場合がございます。
- ・小学生未満、フォレストクラブ会員は無料
- ・障害者手帳所持者とその介護者(1名)は無料
- ・70歳以上または高知県(高知市)長寿手帳をお持ちの方は250円(半額)
- ・越知町内のスノーピークへご宿泊の方はレシート提示で入館料が半額
- ※龍馬パスポート対象施設です。
- ※当館は現金のみお取り扱いしております。
- (カードや金券など不可)
- ホームページ
- https://www.yokogurayama-museum.jp/