2024年1月19日
サンシャイン水族館の夜間施策の取り組み
『性いっぱい展』
サンシャイン水族館 館長 丸山克志
サンシャイン水族館は豊島区池袋の高層ビルの屋上階にある強みを存分に活かし、非常に多くの方に来館いただいています。水族館は、主に水中生物そのものやその生態を紹介することが展示の中心となりますが、生物多様性や持続可能性を通して、命の力強さや不思議を伝えることも大切です。当館では、連綿と命を繋ぎ続ける生き物たちの『性』の世界の多様性をお伝えすることの重要性を感じていましたが、性というテーマは、あらゆるお客様にご覧いただく通常展示としては扱いにくく、長年実現できずにいました。
そこで、夜間の特別コンテンツとして実施したのが「性いっぱい展」です。生き物たちの『性』『繁殖活動』『求愛行動』などのテーマについて、アカデミックな内容を保ちつつ、多くのお客様に興味を持って来場してもらえるようなちょっと突き抜けた展示を企画しました。テーマを活かせるよう、タイトルについても検討を重ねた展示は大きな人気を博し、2019年から2021年の足掛け3年間にわたり、『性いっぱい展』『もっと性いっぱい展』『性いっぱい展おかわり』として、内容をバージョンアップしながら展開することができました。

性いっぱい展の告知展開イメージ
展示においては、生き物の情報を正確に伝えにくくなる恐れがあるために水族館ではあまり行わない、生き物を人に例えた目線での表現や、人間の性を間接的にイメージさせるような照明・音楽等の演出も行いました。こうした演出により、普段生き物にさほど関心を持たない方にも効果的にアピールすることができました。
展示内容の一部をご紹介します。


水族館入口に設置された詳しい生物解説が読めるQRコードパネル

展示生物の解説パネル
コロナ禍の展示を経て、解説パネルを読む来館者が一カ所に集中することを防ぐため、解説パネルはイラスト・キャッチコピー・簡潔な解説のみとし、詳しい生物解説については、館内入口のQRコードから各自のスマートフォンでご覧いただくことができるようにしました。
また、五感で楽しむことをコンセプトに、視覚はもちろん、それ以外の感覚でも楽しめるように下記のような展示の工夫をしました。

生物の繁殖にまつわる動画も「のぞく」ことでテーマに合った体験に。

館内に設けたフォトスポット

自分と似ているタイプの動物の性や繁殖に関わる生態がわかるフローチャート
聴覚:ペンギンの求愛の鳴き声も盛り込んだオリジナル館内BGM。
触覚:SNSで画像拡散していただけるようなデザインのプロップスやパネルを設置したり、間接的に模型に触れたりできるようにした。
嗅覚:オタリアやカワウソが自分をアピールする時の匂いを嗅げるシステムを設置。
味覚:イベントイメージカラーの「ピンク」色のオリジナルエナジードリンクを販売。
生き物の多様性とは、生き物の個性と影響し合う繋がりの豊かさです。それを理解し、お互いの適切な距離感と関係性を保ち、共存し続けることはとても重要です。
池袋やサンシャインシティには、水族館来館が目的ではない方もたくさんいらっしゃいます。そんな方にも来ていただける機会がある当館だからこそ、水族館の本質的な常設展示と、期間限定で普段と違うチャレンジングな展開ができる特別展示の双方を活かして、より多くの方に生き物に関心を持っていただけるよう、引き続き努力・工夫を重ねていきたいと思います。
サンシャイン水族館
〒170-8630 東京都豊島区東池袋3-1 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル 屋上
- 問合せ
- 03-3989-3466
- 交通
- 池袋駅 35番出口より徒歩約8分
- 東池袋駅(東京メトロ有楽町線)6・7番出口より地下通路で徒歩約3分
- 開館時間
- 9:30~21:00(春夏)
- 10:00~18:00(秋冬)
- ※最終入場終了1時間前
- ※営業時間が変更になることがございます。
- • ※最終入場終了1時間前
- • ※営業時間が変更になることがございます。
- 詳しくは「サンシャイン水族館」公式サイトをご覧ください。
- 休館日
- 年中無休
- 観覧料
- 大人(高校生以上) 2,600~2,800円
- こども(小・中学生)1,300~1,400円
- 幼児(4才以上)800~900円
- ※入場日によりチケット料金が異なります。
- ホームページ