2026年6月30日
「とりあえず」の古文書紹介
――古文書一年生が取り組んだ一覧表と概要目録――(前編)
京都府立丹後郷土資料館 杉田 真菜
京都府立丹後郷土資料館(以下、当館)は、地域住民の声を契機にこの地に開館した、約60年の歴史がある府立資料館です。国指定史跡・丹後国分寺跡に隣接し、館の高台からは天橋立を一望できる立地にあります。
当館屋上からの眺め(リニューアル工事前、当館屋上から撮影)
考古・歴史・民俗の3分野に各1名ずつ学芸員が配置されており、私は歴史分野を担当しています。ただし、入職するまでに古文書を扱ったことは数えるほどしかなく、いわば「古文書一年生」として業務に臨むことになりました。着任1か月後には館の大規模なリニューアルが決まり、工事のための移転準備と並行して収蔵資料の把握を進める必要がありました。こうした状況の中で、試行錯誤の末に着手したのが、古文書の概要リストおよび概要目録の作成です。
当館収蔵の古文書一覧表(丹後郷土資料館HPより)
当館収蔵の古文書目録(『丹後漁業関係古文書目録』(平成6年)より)
古文書の整理をするならば、本来は1点ずつの詳細目録を作成するのが望ましいものです。ですが開館以来の大量の未整理資料が目の前にある今、まずは文書の大まかな情報だけでも公開して文書の存在自体を世に出し、利活用の入口を作ることが重要だと判断しました。合言葉は「とりあえず作ろう」でした。
結果として、古文書67件65000点以上についての内容を含めた一覧表をウェブ上で公開し、各文書群に概要説明を付すことができました。
一覧表の作成にあたっては、主な利用者として想定される研究者や地域関係者の意見を聞きながら、掲載項目を最終的に①資料名称 ②出所 ③目録有無 ④内容等 ⑤員数の5項目に集約しました。
①について、当館では管理上の名称を「○○国△△村□□家資料」といった形式で表記していますが、管理上の名称をそのまま一覧表に掲載すると見づらくなるため、「出所」を別に項目立てしました。
また、当館HPでは一覧表が横に短く縦に長くスクロールする見え方になるため、利用者の関心が高い「主な時代」「形式」「参考文献」「既刊の目録」といった情報はすべて「内容」のマスに入れて、見やすさを優先しました。
このようにして作成した古文書の一覧表は、調査研究や文化財の活用に向けた基礎データとしてだけではなく、工事により展示や入館ができない状況下でも資料館への関心を持ち、館を身近に思ってもらえる「オンライン窓口」になりました。
後編では、一覧表の公開後の変化についてご紹介します。
京都府立丹後郷土資料館
リニューアルに向けた準備のため、令和6年7月22日(月)から令和9年秋(予定)まで臨時休館中。
【リニューアル期間中の住所】
〒626-0044 京都府宮津市字吉原2586-2(京都府宮津総合庁舎内)
【資料館の住所】
〒629-2234 京都府宮津市字国分小字天王山611-1
