2026年9月29日
コレクション管理が支える地域資料の継承
栃木県立博物館 自然課長 栗原 隆
栃木県立博物館は、栃木の自然と歴史・文化について理解を深めていただくために、昭和57年(1982年)に開館した総合博物館です。
私が担当する自然分野は、昆虫や哺乳類、草花など、とちぎの山や川に暮らす多種多様な動植物や、それらの生き物がくらしている大地から化石まで広く扱っています。
常設展示のカブトムシ
博物館の重要な機能に、資料を収集・保管し、研究や展示、教育普及に活用できる状態で未来へ引き継ぐことがあります。この業務は主に学芸員が専門知識を生かして行っています。
私は、どの資料を博物館に収蔵するのか、あるいは受け入れないのかといった判断に携わる中で、自身の判断が客観的に妥当なのかを考えるようになりました。
その際の拠り所となるのが、博物館法や栃木県立博物館の運営方針、収集方針などの各種規程です。
これらによって、館として収集・保管し続けるべき資料なのかを確認することができます。学芸員個人の判断だけに委ねるのではなく、組織としての考え方を共有することが、適切なコレクション管理につながっています。また、資料の利活用について再評価するきっかけにもなります。
当館では収蔵庫の建設に合わせて、資料の除籍に関する要領を定めました。除籍という言葉が独り歩きしがちですが、登録から外すプロセスを定めることで、安易に資料が廃棄されないようにする仕組みです。また、資料の利活用について再評価するきっかけにもなります。
当然ながら、博物館にとって最も大切なのは資料を守り、将来に伝えていくことであり、単に収蔵スペースを確保するための除籍が目的化してはいけません。担当学芸員だけでなく館内での検討や外部有識者の意見も踏まえながら、対象となる資料を継続して保管すべきかどうかを慎重に検討します。なお、除籍は博物館資料としての登録解除であり、廃棄を意味するものではありません。
資料除籍のフロー図
(資料の除籍は複数段階の検討を行い、必要と認められた場合、県の財務規則に従って譲渡や移管を行い、どうしても活用が見込まれない場合は廃棄を検討する。)
これまでに紹介した博物館法や当館の内規で方針を明確に定め、再評価に基づくコレクション管理を進めるなかで、地域に存在する資料を守っていくことにも役立ちます。
当館では統廃合によって閉校となった旧県立足利女子高等学校が所蔵していた鳥類の剝製など「学校資料」を受け入れ、2026年度の春季企画展「新しくやってきた標本たち~集めて、守って、活かす~」で紹介しました。このような地域の歴史や記憶を伝える資料を新たに受け入れ、保存・継承していくうえでも、収蔵資料全体を適正に把握し管理しておくことが欠かせません。
コレクション管理は、今ある資料を守るためだけでなく、地域の大切な資料を未来へ引き継ぐ基盤にもなっているのです。
企画展での旧県立足利女子高資料の展示の様子
博物館で業務に当たっている際に、私のように判断に迷うことがあれば、ぜひ法律や条例、内規などを確認してみてください。私はこれらを拠り所とすることで、学芸員としての業務に対する迷いが大幅に減りました。
また、これから博物館への資料の寄贈を考えている方は、その館がどのような方針や基準で資料を収集し管理しているのかを調べてみてはいかがでしょうか。
栃木県立博物館
〒320-0865 栃木県宇都宮市睦町2-2
https://www.muse.pref.tochigi.lg.jp/![]()
- 開館時間
- 9時~17時(最終入館時間16時30分)
- 休館日
- 毎週月曜(祝日の場合は開館)、祝日の翌日(土・日曜の場合は開館)、年末年始(12月28日~1月4日)、定期燻蒸に伴う休館など臨時の休館はHPをご確認ください。
- 入館料
- 一般 260円(200円)
- 大学生・高校生 120円(100円)
- 中学生以下は無料※( )内は20名以上の団体割引料金
- 県民の日(6/15)の前の土・日曜および文化の日(11/3)は無料
- ◎M割(ミュージアム割引について)
- 〇栃木県博物館協会のM割参加施設の入館券を持って、入館日から6か月以内にM割参加施設に入館すると、料金割引を受けられます。
- 〇M割参加施設は、栃木県博物館協会HPでご確認ください。
- アクセス
- ■バス
JR宇都宮駅(西口)から(関東自動車)
⑬番乗り場37 「桜通り経由鶴田駅行」または「桜通り経由西川田駅行」に乗車し、「中央公園博物館前」下車
⑩番乗り場43 「長坂経由鹿沼営業所行」または⑩番乗り場40「西の宮団地行」に乗車し、「文星芸術大学付属中高」下車
東武宇都宮駅から(関東自動車)
関東バス「東部駅前」バス停で上記のバスを利用
