2026年10月27日
「獅子殺し」から「獅子生かし」へ。博物館を舞台に、地域活性化の材料をつくる。(前編)
羽咋市歴史民俗資料館 学芸員 中野知幸
能登半島の入り口に位置する石川県羽咋市には、天狗と獅子が共に舞う独特の獅子舞文化が受け継がれています。祭礼の最後を飾る「獅子殺し」という演目は、天狗が獅子を退治する迫力ある演舞で、羽咋の祭礼には欠かせない存在です。
しかし、少子高齢化による担い手不足、コロナ禍、能登半島地震が重なり、その継承は困難に直面しています。
羽咋市歴史民俗資料館では、地域で愛される獅子舞を集落持続性の原動力と捉え、「獅子は殺すのではなく、生かす!」を合言葉に、地域活性化にむけた取り組みを続けています。
■ 獅子舞の閉鎖性を解き放ち、地域を再発見する。
羽咋には61町会(集落)のうち44町会(集落)で獅子舞が行われています。かつては、ほぼ全ての集落で獅子舞が行われていました。
獅子舞は、集落単位で伝承されており、それぞれに演舞や演目が異なるため、隣接する集落同士でも、類似はあっても全く同一ということがなく、その「多様性」が特徴といえます。これは、神社の祭礼に伴うものであるために、他の集落との交流が少ないまま、それぞれの地域の中で受け継がれてきたためと思われます。これは、裏を返せば「閉鎖性」という課題を持っており、実際に「自分の集落の獅子舞(祭礼)しか知らない」「ほかの獅子舞(祭礼)を見たことがない」という現状がありました。
そこで当館は、他集落の獅子舞を知る機会を増やし、自分たちの地域を他の地域と見比べ、その特徴や魅力を再発見できる交流の場づくりを目指すことを考えました。
羽咋市大町の獅子舞
羽咋市吉崎町の獅子舞
■ 仲間をあつめ、博物館機能を強化。
そこで、各集落で獅子舞を担う友人たちに「獅子舞を調べ、記録し、羽咋を獅子舞で盛り上げよう」と呼びかけ、賛同してくれた仲間と「はくい獅子舞保存活性化実行委員会」を結成しました。
一方で、このような事業では、立ち上げたのは良いけれど、学芸員が単独で抱え込んで、結局疲弊してしまうことがよくあります。
このため実行委員会メンバーには、この獅子舞プロジェクトを通して博物館機能(収集保存・調査研究・展示公開・交流普及)に参加してもらう仕組みづくりも密かな目標としました。
予算はなかったので、文化庁の「文化遺産を活かした地域活性化事業」補助金を活用することにしました。うまく採択を得て、平成27年度から事業を開始し、市内の全集落への聞き取り調査と祭礼の獅子舞の記録撮影を進めていきました。獅子舞を中止している集落にも足を運び、古老から話を聞き、神社の古い獅子舞道具をすべて調査しました。獅子舞の撮影は「全集落の全演目を撮りきる」ことを目標に行い、4年の期間を要しました。大変でしたが、これがこの後の活動の基盤になっていきました。
これらの調査成果は、当館での企画展を通して地域に成果を報告していく形を取りました。展示内容を話し合い、メンバーが獅子頭や天狗の烏帽子(えぼし)などの資料借用に奔走し、展示作業、借用資料の撮影、報告書作成も手作りで行いました。おかげで、裏テーマとしていた市民参加による博物館機能の強化にも結び付いたと考えています。今では、メンバーたちが当館の常連さんです。
羽咋市歴史民俗資料館
〒925-0027 石川県羽咋市鶴多町鶴多田38番1
https://www.city.hakui.lg.jp/rekimin/index.html![]()
- 開館時間
- 午前9時30分から午後17:00
- 休館日
- 毎週月曜日 (祝日を除く)、祝日の翌日(土曜日又は日曜日を除く)、12月28日~翌年1月4日
- 入館料
- 無料
- 交通
- 徒歩:JR羽咋駅東口下車・徒歩10分、車:千里浜ICより10分(当館付近施設の駐車場をご利用ください)
羽咋市デジタル博物館「デジハクイ」
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はくい獅子舞保存活性化実行委員会Facebookアカウント
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