2024年7月1日
文化庁政策課文化発信室
2024年5月11日(土)、京都に移転した文化庁に「ジュニア京都文化観光大使」16名が、やって来ました。
文化庁を訪れた大使たち
「ジュニア京都文化観光大使」は、京都に興味があり、もっと知りたい!という熱意がある京都市内に住む小学6年生たちです。京都市から年度ごとに任命される大使たちが、今年度1回目の活動場所として選んでくれたのが、文化庁です。
■文化庁の仕事について
まず、文化庁職員から、「文化庁の仕事って何? 何をしているの?」、「どうして京都に来たの?」といったクイズを交えながら、文化庁の紹介を行いました。紹介のなかで「日本の文化芸術を世界に、そして次の世代に伝えていく」という文化庁の役割を説明し、文化財や伝統芸能、マンガ・アニメ、ゲーム、映画、演劇、観光など、文化庁の業務が広い分野にわたっていることを伝えました。
子どもたちに人気が高く、身近な存在であるマンガ・アニメやゲーム、映画などにも文化庁が実は関わっていることは、大使たちにとって意外に感じられたようです!
文化庁の仕事について学ぶ大使たち
また、文化庁の移転は東京一極集中を見直す取組の一つで、文化財がたくさんあり、伝統文化が根づく京都が選ばれたことを説明しました。京都で活躍する大使たちにとって、改めて京都の魅力を考えてもらう機会になったのではないでしょうか。
■文化財の高精細複製を用いた対話型鑑賞
その後、大使たちには4つのグループに分かれてもらい、国宝など文化財の高精細複製(レプリカ)に触れてもらいました。複製は本物の文化財そっくりに作られていますが、ガラスケースなしで間近で見たり、触れたり、長期間の展示をしたりなど、本物にはできない活用をすることができます。複製の役割や複製だからこそできることを知ってもらいました。
また、文化庁職員からは、「作者はだれ?」「いつの時代のものかな?」といった答えのある質問だけでなく、「触れてみてどうだった?」「どれが好き?」などのオープンな問いを投げかけ、大使たちにそれぞれの考えを言い合ってもらいました。文化庁職員とだけでなく、同じグループの大使同士や保護者とも相互で活発なやり取りができたのではないでしょうか。これは「対話型鑑賞」と呼ばれている、知識に頼らずに作品をよく見たり触れたりして、感想を共有し合いながら鑑賞する楽しみ方です。
今回は大使たちにとっては初の顔合わせだったため、最初は緊張していた様子も見られましたが、最後はわいわいと盛り上がっていました。
今回触れた複製は、以下の4つです。
(1)埴輪・甲冑
国宝 埴輪 挂甲の武人 古墳時代・6世紀 群馬県太田市飯塚町出土 東京国立博物館蔵
原寸大複製の埴輪を触ってみる
埴輪から再現された甲冑も着用しました
(2)土偶
・重要文化財 遮光器土偶(2種) 縄文時代(晩期)・前1000~前400年 青森つがる市木造亀ヶ岡出土 東京国立博物館蔵
・重要文化財 みみずく土偶 縄文時代(後期)・前2000~前1000年 埼玉県さいたま市 真福寺貝塚出土 東京国立博物館蔵
・土偶 通称:ヤマネコ土偶 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 山梨県笛吹市御坂町上黒駒出土 東京国立博物館蔵
土偶を両手で持ってみる
土偶の内側には当時の人の指の跡が!
(3)掛け軸
国宝 秋冬山水図 雪舟筆 室町時代・15世紀 東京国立博物館蔵
掛け軸を巻いてみる
複製は墨の濃淡まで本物そっくりに表現!
(4)屏風
国宝 楼閣山水図屏風 池大雅筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
屏風に触れてみる
ガラスケースなし!間近で鑑賞
体験後、大使たちからは、「土偶には作った人の指や道具の跡があった!」「甲冑を着てみて重いと感じたけど、本物はもっと重かった可能性があると知って驚いた」「屏風の絵の具が岩からできているのを初めて知った」などの声がありました。
大使たちの感想の詳細は、下記のWAKU WAKU体験レポートからご覧いただくことができます!
ジュニア京都文化観光大使のWAKUWAKU体験レポート | 大人みんなが子どもたちの学び育ちのために! (doyo-juku.com)
最後に、「楽しかった?」とこちらから聞くと、大使たちが大きく頷いてくれたことが印象に残っています。文化庁の使命の1つ、日本の文化芸術の魅力を次の世代に伝えることの大切さとやりがいを強く感じることができました。
文化庁も、次世代を担う大使たちと同様に、京都から世界へ、日本の文化芸術の魅力をさらに発信していきます!
全員集合の記念写真
写真撮影:ITP、文化庁