2020年5月7日
当コーナーでは,暮らしの文化の旬な人やイベントを紹介していきます。
※暮らしの文化とは,文化芸術基本法第12条に記載されている,茶道・華道・書道・食文化などの「生活文化」と,囲碁・将棋などの「国民娯楽」を始め,私たちの暮らしと係りを持っている様々な文化を指します。
昨年12月14~15日の2日間,京都府立京都学・歴彩館等を会場にして,「令和元年度 全国高校生伝統文化フェスティバル」のひとつ,茶道フェスティバルが開催され,全国各地から集まった学校の茶道部に所属する生徒が茶縁を紡ぎ,交流を深めました。府内の高校生が全国の茶道部員をおもてなしする歓迎呈茶に始まり,各学校の活動を発表するポスターセッションや千家十職竹細工柄杓師の黒田正玄氏の講演,和菓子作り体験,交流呈茶などのプログラムが行われました。参加された生徒から感想を頂きましたので,以下に紹介します。
京都府立嵯峨野高等学校 大平愛結
◯茶道部に入ったきっかけは何ですか。また茶道部では,どんな活動をされていますか。
私は,小学生の頃に参加した地域の体験教室で茶道を知り,それから日本の伝統に興味を持っていたため高校入学と同時に茶道に挑戦することにしました。茶道部では週に一度,表千家の先生方にお越しいただいてお稽古を行い,文化祭や卒業茶会がその成果を発揮する場となっています。
大会等を通じて,違う学校・流派の方と交流する機会も頂いています。気軽に始めた茶道でしたが,人として成長できるという側面に気付き,もっと続けたいと感じています。伝統文化を継承するという面だけでなく,自分自身の成長を実感できるという側面も茶道の稽古にはあるということを,より多くの人に知ってもらいたいです。
◯茶道について,難しいと感じること,また楽しいと感じることはどんなことですか。
大会で違う学校の方と一緒にお茶会を行うことが,特に難しく,また楽しいと感じています。流派やお稽古の違いから,いつも通りとはいかない難しさがありますが,同時にいろいろな出会いもあり,良い刺激を受けられる貴重な機会だと思っています。
茶道フェスティバルでは茶道という共通点を通してたくさんの方と交流し,自分の学校とは違った活動や工夫を知る良い機会になりました。
各校作成のポスター
愛知県立岡崎北高等学校 森嶋純菜
○茶道フェスティバルに参加して
呈茶では,まず椅子に座った状態でのお点前を初めて見たので驚きました。他にも初めて見る釜や短冊などもあり,新鮮な気持ちで拝見しました。ポスターセッションでは,他校の部活動について知ることができました。菓子作り体験ではふだんは食べるだけの和菓子を初めて作らせていただき,思うように球の平たい形にできなかったり,菊の模様が均等に作れなかったり,難しさを感じました。職人さんが長年かけて身に着けてこられた技術に感動しました。また,「和菓子は水にたくさん触れさせるお菓子だから,水にもこだわりがある」という話が印象に残っています。餅や餡を作るにも水は必要で,そこにこだわりや工夫があるからこそ美味しくいただけるのだと実感しました。
和菓子作りを体験
○茶道を続けていく上での今後の目標を教えてください。
お稽古を続けていくうちに,細かな所作やお客様への気配りに目が向くようになってきました。やはりお手本となるのは先生なので,どのようにしたらより美しく見えるのか,思いやりが表れるのか学びながら,これからもお稽古に励みたいです。
私は茶道を始めて約2年となりますが,茶道を習う前と比べると,気付かなかったことに心が向いたり,見えていなかったことが感じられたりして,生活に彩りが生まれました。また,何げない空間にこそ大事にしたいものがあると思うようになりました。新しい見方や発見が増えれば,一日一日を大切にすることができるので,茶道を続けていきたいと思っています。
交流呈茶・一般来場者に心の籠もった一碗を