2023年1月20日
ここから先の10年
映画監督 松永大司
2011年の3月、ドキュメンタリー映画『ピュ〜ぴる』で映画監督としてデビューをしてから約10年が経ちました。
前回、新作の公開直前にこの「ぶんかる」に文章を書かせてもらった時は、マレーシアで仕上げの作業をしている最中でしたが、今もドキュメンタリーの撮影の為にタイに滞在しています。様々な文化に触れながら作品を作り続けられている自分の環境には本当に感謝しかありません。

©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
先日、タイでは韓国をベンチマークとして5つの“F”からなるソフトパワーの強化を発表していました。Food、Fashion、Fighting、Festival、そしてFilm。
半年間の長期に渡るタイでの撮影の中で、この国のパワーに圧倒をされています。映画というコンテンツを積極的に海外に発信しようとしている国の姿勢を羨ましく感じます。
作品が国を超えて届くことを目指している自分にとって、世界を席巻するコンテンツを作ろうとしているタイのクリエイターたちの姿勢に刺激を受けながら、ここからの10年、更に努力をしていこうと改めて思う機会にもなっています。

©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
そして2023年2月10日には新作『エゴイスト』が公開されます。
シナリオの段階から現場での撮影方法に至るまで、ドキュメンタリーとフィクションを行き来しながら作品を作り続けている経験が、活かされたものになっていると自分では強く感じます。

©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
鈴木亮平さん、宮沢氷魚さん、阿川佐和子さん等の素晴らしい出演者、そして素晴らしいスタッフ等と共に作り上げた『エゴイスト』。これからの自分に期待をしてもらいつつ、今の監督としての自分の現在地をしっかりと見てもらいたいです。

©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
【プロフィール】
松永大司
1974年生まれ。現代アーティスト・ピュ〜ぴるを8年間追ったドキュメンタリー映画『ピュ〜ぴる』(2011)で監督デビュー。同作は第40回ロッテルダム国際映画祭、第11回全州国際映画祭、パリ映画祭など数々の映画祭から正式招待され絶賛された。2015年には初の長編劇映画作品『トイレのピエタ』(出演:野田洋次郎、杉咲花)が公開。第20回新藤兼人賞銀賞、ヨコハマ映画祭森田芳光メモリアル新人監督賞などを受賞。また第16回全州映画祭インターナショナル・コンペティション部門、第45回ロッテルダム国際映画祭Voices部門に正式出品。2017年には、THE YELLOW MONKEYの1年間の活動を追ったドキュメンタリー映画『オトトキ』が公開。第22回釜山国際映画祭ワイド・アングル部門に正式出品。2018年、EXILE TRIBE × SSFF「CINEMA FIGHTERS/シネマ・ファイターズ」企画『ウタモノガタリ』に参加,TAKAHIRO主演『カナリア』を監督。そして国際交流基金×東京国際映画祭による「アジア三面鏡」企画第二弾に、アジア気鋭の監督の一人として参加、『碧朱』が東京国際映画祭にて上映。その後、村上春樹原作『ハナレイ・ベイ』(出演:吉田羊、佐野玲於、村上虹郎)が公開。2022年には『Pure Japanese』(出演:ディーン・フジオカ、蒔田彩珠)と監督作品が公開され、最新作『エゴイスト』(出演:鈴木亮平、宮沢氷魚)は2月10日公開予定。