2014年5月14日
面白くなければ《歌舞伎》じゃない!!
――5分でわかる歌舞伎入門――
国立劇場制作部歌舞伎課 松本光明
みなさんは,《歌舞伎》に対してどのようなイメージを持っていますか?「難しそう」「古くさそう」と,あまり関心がない人も多いのではないでしょうか。でも,ちょっと待って! 実は歌舞伎は,「面白い!」を追い求めて進化する,いわば“生きた演劇”なのです。そんな歌舞伎の魅力を,その歴史をふまえてご紹介します。
日本版レディー・ガガとアイドルたちの歌舞伎
歌舞伎は,江戸時代のはじめに《出雲の阿国》という女性がはじめたとされています。阿国は,当時の最先端ファッションや流行曲・踊りを取り入れた《歌舞伎踊》を生み出しました。さながら,阿国は現代でいうレディー・ガガのような存在でした。
やがて,歌舞伎踊は全国で真似されるようになり,魅力的な女性たちが華やかに舞い踊る《女歌舞伎》や,美少年たちを主役に踊りやアクロバットなどを披露した《若衆歌舞伎》が生まれました(今でいえばAKB48やジャニーズJr. !?)。しかし,これらは世間の風紀を乱すものとして幕府に禁止されてしまいます。その後,成人男性による《野郎歌舞伎》が上演されるようになり,現在の歌舞伎の原型になりました。今でも,女性の役は《女方》と呼ばれる男性の俳優が演じています。

出雲の阿国 画・森矢かおる
進化し続ける《カブキ》
歌舞伎の作品には,当時の「時事ネタ」を盛り込んだ作品がたくさんあります。江戸時代の町で起きた出来事や,人気のあった人物・音楽・踊りなど,さまざまな時事ネタ――当時の「面白い!」が詰まっています。そして現代でも,オペラやバレエとのコラボレーションや,ドラマ『あまちゃん』で有名な宮藤官九郎ら人気脚本家・作家による作品など,今の時代の「面白い!」を取り入れた歌舞伎の上演が次々に試みられています。
歌舞伎には,昔の生活の雰囲気や,きらびやかな衣裳,大掛かりな舞台装置,心地よい音楽など,歌舞伎が今まで取り入れてきた「面白い!」がたくさん散りばめられています。
みなさんも,歌舞伎の「面白い!」を探しに,ぜひ劇場へ足を運んでみませんか?
あなたも一緒に,デビューしませんか?
ここまで読んでいただいて,ほんの少しでも歌舞伎に興味を持ってくださった方に朗報!
国立劇場では,初めて歌舞伎を観る人のために,毎年6・7月に『歌舞伎鑑賞教室』を開催しています。
学生1,300円と映画並みの手軽さが魅力のこの公演,7月は,歌舞伎の楽しさやみどころを歌舞伎俳優がわかりやすく解説する『歌舞伎のみかた』と,歌舞伎の代表的な演目のひとつ『傾城反魂香』を字幕付きでお届けします。

おとく(中村魁春),又平(中村梅玉)
思っていることがうまく言葉に出来ない絵師・又平と,又平を献身的に支える妻・おとくの情愛あふれる物語『傾城反魂香』では,彼ら夫婦の絵にかけた思いが奇跡を起こします。どんな奇跡が起きるかは,実際の舞台を見てのお楽しみ!

本作のキーアイテム
「手水鉢」
石で出来た手水鉢に,又平が自画像を描くと……
国立劇場ホームページ内の文化デジタルライブラリーでは,歌舞伎をはじめ伝統芸能に関するたくさんの情報を発信しています。「もっと歌舞伎を知りたい!」という方は,ぜひアクセスしてみてくださいね。
みなさんも,歌舞伎ワールドに足を踏み入れてみませんか?
国立劇場歌舞伎鑑賞教室 7月『傾城反魂香』
〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- 問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[PHS・IP電話] - 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅から徒歩5分,半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅から徒歩8分
都営バス都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車徒歩1分 - 公演日時
- 7月3日(木)~24日(木)午前11時開演・午後2時30分開演
※11日(金)・18日(金)は午後2時30分のみ
※《社会人のための歌舞伎鑑賞教室》=11日(金)・18日(金)午後7時開演 - 御観劇料
- ・ 一般:1等席3,900円,2等席1,500円
・ 学生:全席1,300円 - ホームページ
- http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2014/26710.html?lan=j
《インターネット予約・一般券のみ》
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