2014年9月1日
オペラへのいざない
新国立劇場制作部オペラ(広報担当) 小幡秀美
オペラは,選りすぐりのドラマがすばらしい歌声と劇的な音楽を伴って展開する舞台芸術の最高峰。何かと非日常的なイメージの強い舞台芸術ですが,16世紀末にイタリアのフィレンツェで誕生したときは,宮廷の貴族のための娯楽でした。それがフランス革命を機にブルジョワ階級にも広まり,大衆の娯楽として広く親しまれるようになりました。
オペラには,神話や歴史物などを題材にしたシリアスなものから,上流社会の恋愛をテーマにしたもの,一般市民の日常を扱ったもの,シェイクスピア劇を基にしたものまで,様々なジャンルがあります。
例えば,「闘牛士の歌」など誰もが知っている音楽が満載の「カルメン」や,明治期の日本人女性を題材にした「蝶々夫人」などは,日本人に人気のオペラの代表格です。

「蝶々夫人」2014年1月公演より(撮影:三枝近志)
2015年7月新国立劇場,10月尼崎で
「高校生のためのオペラ鑑賞教室」として上演予定
オペラより娯楽性が高いのがオペレッタ(軽喜歌劇)。ヨハン・シュトラウスⅡ世「こうもり」は,ウィーンの上流社会を舞台に,遊び好きの中年紳士がパーティーで口説いた女性が自分の妻だった!というドタバタ劇が繰り広げられ,「全てはシャンパンのいたずら」と和解するという,華やかで楽しいオペレッタです。

「こうもり」2011年公演より(撮影:三枝近志)
2015年1月再演予定
新国立劇場ではまた,日本人が作曲した優れたオペラも毎年上演しています。
例えば,民話「鶴の恩返し」を題材にした木下順二作・團伊玖磨作曲「夕鶴」。本年11月に尼崎のあましんアルカイックホールにて,「高校生のためのオペラ鑑賞教室」として上演します。高校生の団体向けの公演ではありますが,残券がある場合,公演当日一般向けにも販売します。

平成25年度 高校生のためのオペラ鑑賞教室・関西公演「夕鶴」より
(撮影:三枝近志)
また,松村禎三作曲「沈黙」は江戸時代初期のキリシタン弾圧を描いた遠藤周作の名作を基にしており,「夕鶴」とともに日本オペラ史上最高傑作と言われています。

「沈黙」2012年公演より(撮影:三枝近志)
2015年6月再演予定
最後に,直近のオペラ公演を御紹介。新国立劇場では10月にワーグナーの超大作「パルジファル」とモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」を上演します。
オペラのすばらしさを体験済みの方は,是非ワーグナー最晩年の傑作「パルジファル」で崇高な音楽に心ゆくまで浸ってください。一方,オペラ初心者には「ドン・ジョヴァンニ」がおすすめ。女たらしの主人公ドン・ジョヴァンニが最後には地獄に落ちるというストーリーが,軽快な音楽に乗せて描かれています。

「ドン・ジョヴァンニ」2012年公演より(撮影:三枝近志)
芸術の秋。是非この機会に,新国立劇場でオペラを味わってみてください。
新国立劇場オペラ 10月公演「パルジファル」「ドン・ジョヴァンニ」
〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1 新国立劇場オペラパレス
- 問合せ
- 【ボックスオフィス】(10:00~18:00)03-5352-9999
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗入)新宿駅より1駅,初台駅中央口直結
- 公演日時
- 「パルジファル」
10月2日(木) 4:00,5日(日) 2:00,8日(水) 2:00,11日(土) 2:00,
14日(火) 4:00
「ドン・ジョヴァンニ」
10月16日(木) 6:30,19日(日) 2:00,22日(水) 2:00,24日(金) 6:30,26日(日) 2:00
- 御観劇料
- 「パルジファル」
S席32,400円,A席27,000円,B席19,440円,C席12,960円,
D席6,480円
「ドン・ジョヴァンニ」
S席23,760円,A席19,440円,B席12,960円,C席7,560円,
D席4,320円
- ホームページ
- 「パルジファル」
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/parsifal/
「ドン・ジョヴァンニ」
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/141016_003716.html