2014年12月3日
神を楽しませる舞《神楽》
国立劇場制作部伝統芸能課 渡貫一志
天上の神に祈る
はるか昔から,私たちは大自然とともに生きてきました。太陽の光は作物を育て,雨は大地を潤し,森は人々や動物を守ってくれています。
しかしこうした大自然の働きは,人間の力ではコントロールできません。そのため人々は天上には大自然を司る神がいると考え,神に願い,祈るようになりました。
このように神に願い,祈る時にささげたのが,神を楽しませるための《神楽》なのです。
神楽の起こり
日本神話によれば,神楽の始まりは,天の岩戸に隠れてしまった天照大神が出てくるきっかけを作った,天鈿女命という神様の踊りだといわれます。そしてこの踊りは神楽だけでなく,いろいろな芸能の起こりにも結び付けられ,天鈿女命は芸能の神として祀られています。
こうした神にささげる舞《神楽》は,現在でも民俗芸能として全国各地で受け継がれており,その演じ方もさまざまです。大きく分けると,仮面をつけずに幣や鈴,刀などを持って舞う採物神楽の舞,道具を持って曲芸的に舞う舞,仮面をつけて神話や伝説などの物語を演じる舞などになります。
本川神楽
来年1月には国立劇場の舞台で,高知県に伝わる国の重要無形民俗文化財に指定される土佐の神楽を構成する9団体の中から本川神楽を紹介します。この神楽は,土佐の神楽の中でも最も山深い地域に伝わっている神楽です。そのため,他の地域の影響をあまり受けずに昔のままの素朴な味わいを見せること,そして土佐の神楽の中では,唯一夜を徹して行う"夜神楽"を伝えることで知られています。
今回は,突然に被っていた布をはねのけて躍動的に舞う山王の舞や剣の舞などの真剣を使って舞うものや手に乗せたお盆を落とさずに曲芸的に舞う折敷の舞,また本川神楽の演目の中でも唯一ストーリーがあり地元で最も親しまれている鬼神争いなど,「座祝い」という中休みにあたるものをのぞいた16演目を地元の祭礼で演じるように舞台で演じてもらいます。
またとない機会ですので,ぜひじっくりと本川神楽をお楽しみ下さい。

山王の舞

折敷の舞

鬼神争い
国立劇場 1月民俗芸能公演 『土佐の神楽』
〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- 問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[PHS・IP電話] - 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅より徒歩5分,
半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅より徒歩8分
都営バス都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車徒歩1分 - 公演日時
- 平成27年1月24日(土)1時開演・4時開演
- 御観劇料
- ・一般:3,700円
・学生:2,600円
・1時の部・4時の部セット料金 6,700円(同時購入の場合のみ) - ホームページ
- http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2014/11015.html?lan=j
《インターネット予約》
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