2015年3月26日
雅楽・声明・日本舞踊・邦楽「伝統芸能の魅力」
国立劇場制作部 伝統芸能課 石橋 幹己
ぶんかる『ようこそ劇場へ』では,これまで様々な舞台芸術に触れてきましたが,第10回目となる今回は,これまで取り上げてこなかった4つの伝統芸能,雅楽・声明・日本舞踊・邦楽を一挙に御紹介します。
【雅楽】
雅楽は,日本古来の音楽や舞と大陸から伝来した諸芸が融合して成立した芸能で,日本で最も古い歴史を持つとされています。その演奏形態は,雅楽器による音楽〈管絃〉,その音楽に舞を伴う〈舞楽〉,そして雅楽器を伴奏に歌う〈歌謡〉の三種類があり,宮廷や寺院の年中行事などで演じられます。雅楽の曲には舞が廃れて演奏だけが伝わる曲もありますが,同じ曲でも舞が入るとそのリズムや旋律が異なる,というのは興味深いですね。

伶楽舎:管絃の演奏
【声明】
声明は,僧侶が唱える声楽のことで,先祖の供養や国家の安穏,仏への報恩などを唱えます。仏教とともに伝えられたとされ,時代が下るにつれて次第に音楽的に唱えられるようにもなりました。宗派によって仏教儀礼が異なるように,その声明の特徴も異なります。例えば天台宗・真言宗・浄土宗の3宗派で同じお経を唱えても別のお経を唱えているように聞こえる場合もあります。

浄土宗縁山流声明:法会の様子
【日本舞踊】
日本舞踊は,主として歌舞伎から発達した芸能です。バレエなどと同様に,リズムと動きの織り成す躍動感や動きから見える心象表現に魅力があります。一方で日本舞踊は,伴奏音楽に歌詞があり,その歌詞の内容を身体で表現している点に一つの特徴があります。また,武士や白拍子,町娘などの役柄を踏まえて演じられるところにも特徴があります。音楽に言葉が付くことにより表現の幅が広がり,例えば月や山なども,身体や衣裳,小道具を用いて情趣豊かに表すことができるのです。

尾上菊之丞:「連獅子」
【邦楽】
邦楽は,長唄や義太夫節,箏曲や琵琶楽などの日本の伝統音楽で,様々な芸能に影響を及ぼしながら発達してきました。音楽のジャンルが多様にあるように,声や楽器の音色にもそれぞれ異なった特徴があります。例えば琵琶は勇壮な響き,箏は典雅な音色というように,音楽の種目ごとにうたや語りの特色を比べると,一層邦楽の味わいを深く感じていただけることと思います。

左から山勢松韻・山勢麻衣子・奥山益勢・山登松和:「寿くらべ」
6月には国立劇場(小劇場)で「伝統芸能の魅力」を開催します。以上,御紹介してきた4つの伝統芸能を,まとめてお楽しみいただける絶好の機会ですので,御来場お待ちしております。
伝統芸能の魅力「雅楽を楽しむ」「声明を楽しむ」「日本舞踊を楽しむ」「邦楽を楽しむ」
〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- 問合せ
- 【国立劇場チケットセンター】(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[PHS・IP電話] - 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅より徒歩5分,半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅より徒歩8分
都営バス都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車徒歩1分 - 公演日時
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平成27年6月6日(土)11時「声明を楽しむ」,2時「邦楽を楽しむ」
13日(土)11時「雅楽を楽しむ」,2時「日本舞踊を楽しむ」 - 御観劇料
- 一般2,500円,学生1,800円
- ホームページ
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http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2015/6132.html?lan=j
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2015/6133.html?lan=j
【インターネット予約】
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