2015年9月1日
オペラは音楽とドラマの融合
新国立劇場制作部オペラ(広報担当) 桑原 貴
オペラの歴史は1600年代にイタリアのフィレンツェで始まったと言われています。その原点は,当時上演されていたギリシャ劇に音楽が加わった音楽劇でした。つまりオペラとは「演劇の台詞を歌にした舞台芸術」であり,日本語で記載すると「歌劇」,まさしく「歌う劇」です。
オペラが完成する過程は,まず作曲家がオペラ向きの原作ドラマを探します。これが決まると「台本」を作成します。この台本が「歌詞」となります。台本完成を経て「作曲」に取り掛かります。
日本オペラを例にとると,民話に<鶴の恩返し>という作品があります。これを題材とした戯曲が木下順二作の『夕鶴』です。そしてこの戯曲の音楽を担当していたのが,作曲家の團伊玖磨でした。團伊玖磨氏は,この戯曲が大変にすばらしいのでオペラにすることを計画し,一言一句変えてはいけないという木下氏の条件の下で作曲に取り組みました。この流れを経て完成したオペラが,團伊玖磨作曲の『夕鶴』です。

オペラ『夕鶴』2011年公演より(撮影:三枝近志)
2016年7月再演予定
ヨーロッパで作曲されたオペラもこのように,作曲家が実際に見て,読んで,すばらしいと感じた題材がオペラ化されています。
ドイツ・オペラで有名なワーグナーは,全作品の台本を自ら執筆しています。これはワーグナー自身が少年期から文才を高く評価されていたことに起因していると想像できます。結果として,ワーグナーは自分の思った通りの「ドラマ」と「音楽」でオペラを完成させることができました。
オペラ『ラインの黄金』は<独立した4つの作品で1つのオペラとなる超大作『ニーベルングの指環』>の序夜(第1作)です。

オペラ『ラインの黄金』 フィンランド国立歌劇場公演より
(Photographer: © Heikki Tuuli)
2015年10月上演予定
さて,オペラ歌手ですが,世界で活躍している歌手,新国立劇場に出演している歌手の声は,練習を積んで磨き上げられ劇場の隅々まで届く特別な美声です。例えば,来年5・6月公演『ローエングリン』で再登場が予定されているテノール歌手のクラウス・フロリアン・フォークト。彼の声はまるでボーイソプラノがそのまま大人になったような,やわらかで清らかな,稀にみる美声に加え,容姿端麗。今や世界中で売れに売れている人気歌手です。この「声」のすばらしさを客席で感じていただければと思います。

オペラ『ローエングリン』2012年公演より(撮影:三枝近志)
2016年5・6月再演予定
オーケストラの迫力ある演奏と特別な声を持ち合わせる歌手たちが作り出す「歌とドラマの世界=オペラ」を是非ご鑑賞ください。新国立劇場では,今シーズンもすばらしいラインアップで皆様のご来場をお待ちしております。

オペラ『トスカ』2009年公演より(撮影:三枝近志)
2015年11月再演予定
新国立劇場オペラ 10月公演『ラインの黄金』/11月公演『トスカ』
(住所)〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- お問合わせ
- 【ボックスオフィス】(10:00~18:00)03-5352-9999
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗入)新宿駅より1駅,初台駅中央口直結
- 公演日時
- 『ラインの黄金』
10月1日(木)19:00, 4日(日)14:00, 7日(水)14:00,
10日(土)14:00, 14日(水)19:00, 17日(土)14:00
『トスカ』
11月17日(火)18:30, 20日(金)14:00, 23日(月・祝)14:00,
26日(木)18:30, 29日(日)14:00 - 御観劇料
- 『ラインの黄金』
S席27,000円 A席21,600円 B席15,120円 C席8,640円 D席5,400円
『トスカ』
S席23,760円 A席19,440円 B席12,960円 C席7,560円 D席4,320円 - ホームページ
- 『ラインの黄金』
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/dasrheingold/
『トスカ』
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/150109_006147.html(PC)