2016年4月4日
近松門左衛門が描いた二人の愛の行方
―文楽鑑賞教室『曽根崎心中』―
国立劇場制作部伝統芸能課 佐々木勇仁
「『曽根崎心中』,近松門左衛門,元禄文化…。
歴史の授業で出てきた気がする。テスト前に一生懸命覚えたっけ…
そういえば,この前ドラマでやってたらしいね。演劇好きの友達がハマッてたなぁ。
で。結局,何だっけ?」
…という方に,5月に国立劇場の文楽鑑賞教室で上演する『曽根崎心中』を紹介します。

『曽根崎心中』は,元禄16(1703)年,大坂の曽根崎で起こった心中事件に基づいて,江戸時代に活躍した劇作家近松門左衛門が書き下ろしました。当時の人々の興味を惹くセンセーショナルな事件を扱ったこの作品は,事件発生からわずか1か月後に上演され,近松門左衛門の名を世に広めるほどの大ヒット作となりました。
では『曽根崎心中』がどんな物語かちょっとのぞいてみましょう。
《あらすじ》
天満屋の遊女お初は,醤油屋の手代徳兵衛とお互いに将来を誓い合う間柄でした。しかし徳兵衛はお初と久々に会った日,トラブルに巻き込まれます。友人の九平次が貸した金を返してくれず,金を借りた覚えがないと言い張るのです。悔しがる徳兵衛は自分の潔白を証明するために自ら命を絶つことを決心します。

生玉社前の段
その夜,お初は天満屋に戻ってきても徳兵衛のことが気掛かりで仕方ありません。ふと外を見ると徳兵衛が佇んでいます。お初は人目を忍んで徳兵衛を店の縁の下に引き入れます。そこへ九平次がやってきました。昼間の一件は徳兵衛に非があることを言いふらしているのです。九平次の様子を見たお初は,縁の下に隠れている徳兵衛に足で覚悟を問いかけます。徳兵衛はお初の足首を自分の喉にあてて死を覚悟していることを伝えます。お初も徳兵衛とともに命を絶つことを決意し,星が輝く中,二人は天満屋を抜け出し天神の森へと向かっていくのでした。

天満屋の段

天神森の段
江戸時代から人々に愛されてきた文楽を,この機会に劇場で体感してみてはいかがでしょうか。物語が進むにつれて,舞台上の人形が人形であることを忘れてしまうほど文楽の世界に引き込まれていくことでしょう。
国立劇場5月文楽鑑賞教室ではこの『曽根崎心中』と合わせて,文楽の面白さを紹介する「解説 文楽の魅力」を御覧いただきます。また午後6時30分から「社会人のための文楽鑑賞教室」や外国人向けの解説がついた「Discover BUNRAKU―外国人のための文楽鑑賞教室―」を実施する日もあります。皆様の御来場をお待ちしております。
国立劇場 5月文楽鑑賞教室『曽根崎心中』
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- お問合せ
- 【国立劇場チケットセンター】(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[PHS・IP電話] - 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅より徒歩5分
有楽町線・半蔵門線・南北線永田町駅より徒歩8分
都営バス都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車 徒歩1分 - 公演日時
- 文楽鑑賞教室
平成28年5月11日(水)-23日(月) 午前11時開演/午後2時開演
※13日(金)・15日(日)・16日(月)・20日(金)・22日(日)・23日(月)は午前11時の部のみ
社会人のための文楽鑑賞教室Discover BUNRAKU-外国人のための文楽鑑賞教室-
平成28年5月13日(金)・16日(月)・20日(金) 午後6時30分開演
平成28年5月23日(月) 午後6時30分開演 - 御観劇料
- 一般3,900円 / 学生1,300円
- ホームページ
-
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2016/4987.html
【インターネット予約】 4月7日(木)午前10時受付開始,一般券のみ取扱い
http://ticket.ntj.jac.go.jp(PC)
http://ticket.ntj.jac.go.jp/m(スマートフォン)