2017年1月13日
心を揺さぶられるバレエ
新国立劇場制作部舞踊(広報担当) 中尾久美子
日本ではバレエ教室数が4500か所以上,バレエ学習者数が40万人以上も存在しており,その数は世界でも指折りの「バレエ大国ニッポン」なのです。ルネッサンス期(14世紀末~16世紀)にイタリアで誕生したバレエは,現在では世界中のあらゆる国で上演されています。バレエは,ダンサーたちの鍛錬された身体の美しい動き,舞台装置や衣装,そして踊りと一体となった音楽が融合した総合芸術です。その踊りのスタイルや音楽は様々で,悲劇もあれば喜劇もあり,内容も実にバラエティに富んでいます。バレエを観たことがなくても,古典バレエの名作『白鳥の湖』に代表されるような,クラシック・チュチュ(純白の薄地の紗を何枚も重ねてつくった水平に張り出した短いスカート)を身に着けた女性ダンサーたちの姿を思い浮かべる方も多いでしょう。
バレエ『白鳥の湖』 2015年公演より
(撮影:瀬戸秀美)
バレエでは女性バレエダンサーの活躍が注目されがちなので,男性はバレエ鑑賞に対してちょっと及び腰になってしまうかもしれません。ここでは,そんな男性にも楽しんでいただけるバレエ『コッペリア』を御紹介しましょう。
新国立劇場バレエ団が2017年3月に上演する『コッペリア』は,フランスの振り付け家ローラン・プティの代表作です。ユーモアとフランス流の洒落っ気の利いた名作で,美少女スワニルダ,スワニルダという恋人がいるにも関わらずコッペリア(実は,老紳士コッペリウスがスワニルダそっくりに作った人形)に心惹かれる若者フランツ,そしてスワニルダに密かに想いを寄せるダンディな紳士コッペリウスといった登場人物たちが繰り広げる物語です。最後にはお互いの気持ちを再確認して幸せになる若者二人ですが,コッペリウスには幸せな結末が待っているのでしょうか…。
バレエ『コッペリア』 2009年公演より
(撮影:瀬戸秀美)
バレエ『コッペリア』 2009年公演より
(撮影:瀬戸秀美)
バレエ『コッペリア』 2007年公演より
(撮影:瀬戸秀美)
スワニルダ役が披露する本物の人形のようなかわいらしい動き,フランツ役の若さ溢れるハツラツとした伸びやかな跳躍,コッペリウス役のユーモアと哀しみを感じさせるダンディな踊りや演技が見どころではありますが,若い男性の浮気心,恋人への嫉妬,そして老いてもなお異性に恋する心,といった時代を超えて人間が直面する普遍的テーマを扱っている点が特徴です。洒落た喜劇でありながら哀しい余韻が心に残るラストシーンでは,観ている老若男女それぞれの立場で,きっと様々な思いが胸に込み上げてくるに違いありません。そして,TVドラマや映画とは違う,生の舞台の魅力に心を揺さぶられることでしょう。そんな感動を劇場で体験してみませんか。新国立劇場でお待ちしています。
新国立劇場 2月公演『コッペリア』
〒151‐0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- 問合せ
- 【ボックスオフィス】(10:00~18:00)03-5352-9999
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗入)新宿駅より1駅,初台駅中央口直結
- 公演日時
- 2月24日(金)19:00,2月25日(土)13:00/18:00,2月26日(日)14:00
- 観覧料
- S席10,800円 A席8,640円 B席6,480円 C席4,320円 D席3,240円
- ホームページ
- http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/performance/151224_007966.html