2017年3月10日
寄席の芸能 ~時とともに,世とともに~
国立演芸場営業課 吉矢正之
寄席の変遷
江戸時代,河原や社寺の境内などでの,大道芸や見世物などが人気を集め,やがて江戸,京都,大坂といった大都市では,小屋に観客を集めて行う「寄席」が次第に定着してきました。そうして落語,講釈(講談)を中心に人気を博し,浄瑠璃,小唄,手妻,説教,歌祭文などが披露されました。幕府による統制がしばしば行われながらも庶民芸能のよりどころである寄席は隆盛を保ち,天保期に江戸市中には700軒もの寄席があったといわれています。明治時代に入り,東京や大阪は大都市化が進み,交通手段の発展もあって遠距離の移動が可能になり,寄席の間で競争が激しくなり,どこの地域にでもあった寄席が,歓楽街により多く集中する傾向が見られました。

幕末期の寄席
社会の変容と演芸の発展
明治以降,落語や講談,浪曲の速記本が出版されるようになりました。大正時代には演芸のSPレコードが数多く生産されました。昭和に入って寄席を大きく変貌させたのはラジオ放送の開始です。この新たなメディアは,全国的な人気を博す落語家や浪曲師を生み出します。さらに映画への演芸家の出演,そして第二次世界大戦後のテレビ放送の開始は,さらなる知名度の向上につながり,幾度となく演芸ブームを引き起こす要因ともなっています。
一方で,実演としての演芸をじっくりと鑑賞したい,という要望が都市部におけるホールでの落語会や演芸会の開催を促します。さらにかつての「身近な寄席」を志した,飲食店や民家などを利用した演芸ファンや演芸家自身が主催する地域寄席が多数催されています。古くからの「定席」と呼ばれる常打ちの寄席を軸とし,こうした様々な形態の公演が多彩な魅力を持つ演芸の今日の興隆を支えています。
国立演芸場について
国立演芸場は,大衆芸能の継承,振興発展を目指すため,昭和54年3月に開場しました。演芸場の他,演芸資料展示室,寄席囃子,太神楽等の後継者を養成する研修室等の施設を備えています。ここで「定席」,「花形演芸会」,「国立名人会」「特別企画公演」といった公演を開催しています。
「花形演芸会」は,若手演芸家の研さん,育成を目的とした公演で,今では若手の登竜門となっており,この会から巣立って現在寄席の看板として活躍している人たちも珍しくありません。
「国立名人会」は,第一線で活躍する演芸家が,得意ネタや,少ない大がかりなネタを,通常より余裕を持った高座時間で上演します。優れた技芸をじっくりと鑑賞できる会となっています。

国立演芸場の外観

国立演芸場の高座
第455回 花形演芸会/第406回 国立名人会
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- お問合せ
- 国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[PHS・IP電話] - 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅より徒歩5分
有楽町線・半蔵門線・南北線永田町駅より徒歩5分 - 公演日時
- 《花形演芸会》平成29年4月22日(土)午後1時開演
《国立名人会》平成29年4月23日(日)午後1時開演 - 入場料
- 《花形演芸会》一般2,000円/学生1,400円/シルバー(65歳以上)1,300円
《国立名人会》一般3,100円/学生2,200円
※共に全席指定,障害者の方は割引あり。 - ホームページ
-
《花形演芸会》
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/engei/2017/45571.html?lan=j
《国立名人会》
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/engei/2017/406100.html?lan=j
【インターネット予約】
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