2017年4月12日
女性バレエダンサー憧れのバレエ
新国立劇場制作部舞踊(広報担当) 中尾久美子
バレエ作品は世界中に数多く存在しますが,「ジゼル」は一流の女性ダンサーが引退に当たり最後の主演作品に選ぶことも多い作品です。それほどダンサーたちが特別な思いを抱く「ジゼル」とは,一体どんな作品でしょう?
「ジゼル」は1841年にパリで初演されました。舞台は中世ドイツの農村。純朴な村娘ジゼルは農夫のロイスと恋人同士ですが,実はロイスの本名はアルベルト。農夫ではなく,婚約者もいる貴族の青年なのです。彼の裏切りを知ったジゼルは錯乱の末,死んでしまいます。深い後悔の念に打ちのめされるアルベルトは深夜にジゼルの墓を訪れますが,嫁入り前に死んでしまった乙女の精霊たちによって死ぬまで踊らせようと襲われてしまいます。そこに精霊となったジゼルが現れ,身をていしてアルベルトを救おうとします。そして,愛する人の命を守りきったジゼルは,そっと消えていくのでした・・・。

バレエ『ジゼル』 2013年公演より
(撮影:瀬戸秀美)

バレエ『ジゼル』 2013年公演より
(撮影:瀬戸秀美)
ジゼル役のダンサーは,第1幕では可憐な村娘,第2幕でこの世のものではない精霊として踊るため,全く異なる表現力を必要とされます。それゆえ,テクニックはもちろんのこと,豊かな内面性に恵まれたダンサーでなければ踊りきれないとされ,一流ダンサーの試金石と言われるほど難しい役柄なのです。
この作品では,『精霊』いわゆる『幽霊』が登場します。創作された1840年代には,非現実的で超自然的なものへの憧れを描く「ロマンティック・バレエ」が大流行していました。円すい形のロマンティック・チュチュ(紗を重ねた膝下までのスカートの衣裳)を身に着けて,爪先立ちで軽やかに踊る,重力を感じさせない動きは,この世のものとは思えない幽玄な美しさに満ちています。「ジゼル」第2幕の女性のコール・ド・バレエ(群舞)による一糸乱れぬ端正な動きは,「ロマンティック・バレエ」の真骨頂と評されます。

バレエ『ジゼル』 2013年公演より
(撮影:瀬戸秀美)

バレエ『ジゼル』 2013年公演より
(撮影:瀬戸秀美)
新国立劇場では2017年6月,7月に,この名作バレエ「ジゼル」を上演します。
劇場では眼前の舞台でダンサーたちの超人的で美しい身体表現が,非日常の世界を描き出します。是非劇場で感動的な世界を御堪能ください。
新国立劇場 6月,7月公演『ジゼル』
(住所)〒151‐0071 東京都渋谷区本町1‐1-1
- お問合せ
- 【ボックスオフィス】(10:00~18:00)03-5352-9999
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗入)新宿駅より1駅,初台駅中央口直結
- 公演日時
- 6月24日(土)13:00/18:00,6月25日(日)14:00,6月26日(月)14:00,6月30日(金)19:00,7月1日(土)14:00
- 観覧料
- S席10,800円 A席8,640円 B席6,480円 C席4,320円 D席3,240円
- ホームページ
-
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/performance/28_007968.html