2017年10月5日
かがみのみりょく,かがみのまりょく
新国立劇場制作部演劇(広報担当)尾崎 悠
“かがみ”を触ったこと,ありますか?大人になってからはあまりないかもしれませんね。すごく汚れますし。でも,私は子供のころ,にゅるっとかがみの中に腕が入るような妄想をして,友達の家で指紋をべたりと付けてしまった思い出があります。何も他人の家で試すことはなかったかもしれませんが。

小劇場・お手洗い。手で触ってはいけません。
「かがみの中の世界」などが物語の題材によく出てくるように,昔から人間はかがみが大好きで,なおかつちょっと恐れてもいます。冒険の興奮と恐怖は“合わせかがみ”のような感情かもしれません。

夜,新国立劇場。ガラスも水面も,鏡になります。
よくわからない?それでは真夜中に真っ暗な中で姿見の前に立って見てください。なるべく大きいかがみだとベストです!
……いかがでしょう?私は今でもちょっと怖くてあんまり直視できません。うっすらと浮かび上がった自分の顔がふいにニヤッと笑ったりした日にはもう……卒倒ですね。映画だったら最初の犠牲者パターンです。でも,逆に自分がかがみににゅるっと吸い込まれたら?……そちらはとってもワクワクします。これであなたも物語の主人公に!

2015年初演より。(左から)首藤康之,松たか子,近藤良平
しかしどうも,かがみというやつは信用できませんね。よく取り上げられるAIなんかよりも先に,いつか騙され,裏切られる気がします。大体,ほぼすべての人は生涯,自分自身を生で見ることはできずに死んでいきます。それでも見た気になってストレスなく日々の生活を過ごせるのはかがみのおかげです。もしくはカメラのおかげです。つまり,かがみに絶対的な信頼を置きすぎているのです。……皆さん若干,カメラは疑いますが。

(左から)くま,茂木令子,くま
かがみに映ったのが,松たか子さんならあなたは自分を松たか子さんなんだと思うでしょう?茂木令子なら自分は茂木令子だと思うでしょう?そんなことない!と言える人は少ないはずです。つまりかがみが謀反を起こそうものなら,人類などイチコロでやられてしまうということです。恐ろしい魔法の力です。でも私たちはモニターの,カメラの,そしてかがみの質を狂ったように高め続けるのでしょうね。
あ,茂木令子というのは,新国立劇場で12月に開幕する『かがみのかなたはたなかのなかに』というとても面白く,子供も大人も一緒に楽しめる演劇公演を担当しているゆるキャラのお姉さんです。2015年の初演時には連日大入りで多くの御家族にお楽しみいただいた,この超人気公演が再びこの冬に帰ってきます。ライブでこそ得られる感動の数々をあなたに!劇場でお待ちしております!!
新国立劇場 12月演劇公演『かがみのかなたはたなかのなかに』
(住所)〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- お問合せ
- 【ボックスオフィス】(10:00~18:00)03-5352-9999
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗入)新宿駅より1駅,初台駅中央口直結
- 公演日時
- 12月5日(火)~24日(日)
公演時間は以下のリンクを御覧ください。 - 観劇料
- A席 大人6,480円 子供(小・中学生)3,240円
B席 大人3,240円 子供(小・中学生)1,620円 - ホームページ
-
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/16_009659.html