2017年11月2日
文楽が描く親子の情
~12月文楽鑑賞教室『傾城恋飛脚』~
国立劇場制作部伝統芸能課 佐々木勇仁
12月の国立劇場小劇場では文楽鑑賞教室を開催します。文楽技芸員による解説付きの公演で,文楽を構成する太夫,三味線,人形,それぞれの役割や作品を楽しむポイントをわかりやすく紹介します。

公演の後半では『傾城恋飛脚』「新口村の段」を上演します。この作品は,江戸時代に大坂の飛脚屋で実際に起こった横領事件を元に作られました。それを題材に近松門左衛門が『冥途の飛脚』という作品を作り,更に近松の没後,新口村の場面にドラマを凝縮したのがこの『傾城恋飛脚』です。
《あらすじ》
飛脚屋で働く忠兵衛は遊女梅川と恋に落ち,取引先に届けるはずのお金に手をつけてしまいます。大罪を犯した忠兵衛は,梅川とともに自分の故郷,新口村まで逃げてきました。ここから「新口村の段」が始まります。
新口村に着いた忠兵衛と梅川は,知り合いの家を訪れて忠兵衛の親である孫右衛門の近況を聞き出そうとします。すると村では,既に忠兵衛が犯した事件のことが話題になっており,更に忠兵衛を捜索する手が迫っていることを知ります。二人はそこに身を潜めます。
二人が,雪が舞う外の様子を障子の隙間から眺めると,そこに偶然,孫右衛門が通りかかりました。孫右衛門は雪で足を滑らせて転んでしまいます。梅川は,思わず孫右衛門を家の中に招き入れ,自分の身の上を明かさずに介抱します。しかし孫右衛門は,梅川が息子の連れ合いだと悟り,息子が罪人になった以上,ひと目でも息子には会う訳にはいかないと伝えます。梅川は機転を利かせ,孫右衛門に目隠しをして忠兵衛と対面させるのでした。

『傾城恋飛脚』「新口村の段」
平成26年 国立文楽劇場公演より
その折,追っ手がやってきます。孫右衛門は二人に抜け道を教えて,降りしきる雪の中で息子を見送るのでした。親子の別れとなるクライマックスシーンを是非劇場で御覧ください。
12月文楽鑑賞教室は,この『傾城恋飛脚』と「解説 文楽の魅力」,道成寺の伝説に基づいた『日高川入相花王』「渡し場の段」を上演します(※)。
※12月18日(月)「Discover BUNRAKU-外国人のための文楽鑑賞教室-」では「解説 文楽の魅力」と『傾城恋飛脚』を上演します。『日高川入相花王』の上演はありません。
さらに,多くの方に鑑賞していただけるように,午後6時30分に開演する「社会人のための文楽鑑賞教室」や,英語で解説する「Discover BUNRAKU-外国人のための文楽鑑賞教室―」を開催する日もあります。国立劇場の文楽鑑賞教室にどうぞお越しください。
国立劇場 12月文楽鑑賞教室
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- お問合せ
- 【国立劇場チケットセンター】(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[PHS・IP電話] - 交通
-
- 東京メトロ
- 半蔵門線・半蔵門駅より徒歩5分
東京メトロ 有楽町線・半蔵門線・南北線永田町駅より徒歩8分 - 都営バス
- 都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車 徒歩1分
宿75(新宿駅西口-河田町-四谷駅前―三宅坂)三宅坂下車 徒歩1分
- 公演日時
- 文楽鑑賞教室
平成29年12月7日(木)-19日(火) 午前11時開演/午後2時開演
※8日(金)・10日(日)・11日(月)・15日(金)・17日(日)・18日(月)は午前11時の部のみ
社会人のための文楽鑑賞教室
平成29年12月8日(金)・11日(月)・15日(金) 午後6時30分開演
Discover BUNRAKU-外国人のための文楽鑑賞教室-
平成29年12月18日(月) 午後7時開演※解説「文楽の魅力」と『傾城恋飛脚』を上演します。
『日高川入相花王』の上演はありません。 - 観劇料
- 一般3,900円 / 学生1,300円 (全席指定)
- ホームページ
-
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2017/692.html
【インターネット予約】 11月7日(火)午前10時受付開始
http://ticket.ntj.jac.go.jp(PC)
http://ticket.ntj.jac.go.jp/m(スマートフォン)