2018年7月6日
歌舞伎で楽しむ日本神話
『日本振袖始―八岐大蛇と素戔嗚尊―』
国立劇場制作部歌舞伎課 松﨑彩加
「ヤマタノオロチ」と「スサノオノミコト」。皆さんも一度は耳にしたことのある名前ではないでしょうか。漫画やゲームにもよく登場しますが,元々は日本神話に登場する伝説の生き物と神様なんです。 『古事記』や『日本書紀』によると,素戔嗚尊は出雲国(現在の島根県)で八頭八尾を持つ怪物・八岐大蛇を退治し,その尾から出た「天叢雲剣」を手に入れ,出雲国の祖神になったとされています。国立劇場の7月歌舞伎鑑賞教室では,この神話を題材にした『日本振袖始』を上演します。


中村時蔵の八岐大蛇(左),中村錦之助の素戔嗚尊(右)
<あらすじ>出雲国を流れる簸の川の川上。昼でも暗い山奥には,八つの頭をもつ大蛇・八岐大蛇が棲んでいました。村人はその祟りを恐れ,毎年一人ずつ美しい娘を生贄に差し出しています。今年の生贄は,長者の娘・稲田姫。稲田姫が悲しんでいるところへ,美女を憎む岩長姫が現れます。その正体こそ八岐大蛇で,以前には,素戔嗚尊から十握の宝剣を奪って体内に飲み込んでいました。稲田姫を襲おうとした岩長姫は,ふと酒の香りに気付くと八つの甕に入っていた酒を次々に飲み干し,ついに稲田姫を飲み込みます。そこに,稲田姫の恋人・素戔嗚尊が,稲田姫と十握の宝剣を取り返すため駆け付けます。実は岩長姫が飲んだ甕の酒は毒酒で,大蛇を退治するために素戔嗚尊が仕込んだものでした。毒酒に酔った岩長姫は大蛇の本性を顕し,素戔嗚尊と激しく戦います。

美しい岩長姫の正体は……
女方の大役・岩長姫の美しい踊りや,七体の分身が加わった大蛇と素戔嗚尊との派手な立廻りなど,歌舞伎ならではの華やかさと迫力に溢れた舞台です。また,ストーリーもわかりやすいので,歌舞伎を初めて御覧になる方もお楽しみいただけます。岩長姫実ハ八岐大蛇を中村時蔵が,素戔嗚尊を中村錦之助が初役で勤めます。
「でも,歌舞伎って難しそう……」,そう感じている皆様も御安心ください。歌舞伎鑑賞教室では,歌舞伎特有の表現や作品のみどころなどを歌舞伎俳優がわかりやすく御紹介する『解説 歌舞伎のみかた』を併せて上演します。今回解説を担当するのは坂東新悟です。解説の後,『日本振袖始』で稲田姫を勤めますので,爽やかな素顔から可憐な女性への変貌にも注目です!

解説を勤めるのは坂東新悟です(平成28年7月鑑賞教室より)
また,歌舞伎鑑賞教室では,公演プログラムや歌舞伎に関する豆知識をまとめた冊子など,御観劇の手引きも無料でお配りしています。『日本振袖始』ではイヤホンガイドによる音声同時解説や義太夫節の詞章の字幕表示もございます。
さらに,13日,20日には,お勤め帰りの皆様にも御観劇いただきやすいお時間に上演する「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」がございます。16日と20日から24日の間は,「親子で楽しむ歌舞伎教室
」として,子供向けのイラスト入りプログラムも配布いたします(20日は14時30分開演のみ)。詳細はリンク先を御覧ください。
踊りや立廻り以外にも,独特の化粧にきらびやかな衣裳,和楽器の音色など,歌舞伎の魅力が満載の『日本振袖始』。7月は国立劇場へ是非お越しください!
国立劇場
7月歌舞伎鑑賞教室
『解説 歌舞伎のみかた』『日本振袖始―八岐大蛇と素戔嗚尊―』
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- お問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[一部IP電話等] - 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅より徒歩5分,半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅より徒歩8分
都営バス都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車徒歩1分 - 公演日時
- 【歌舞伎鑑賞教室】
平成30年7月3日(火)~24日(火) 午前11時開演・午後2時30分開演
※13日(金)・20日(金)は午後2時30分開演のみ
【社会人のための歌舞伎鑑賞教室】
平成30年7月13日(金)・20日(金) 午後6時30分開演
【親子で楽しむ歌舞伎教室】
平成30年7月16日(月・祝),20日(金)~24日(火) 午前11時開演・午後2時30分開演
※20日(金)は午後2時30分開演のみ
※親子割引あり。詳細はホームページを御覧ください。 - 御観劇料
- 学生:全席1,500円
一般:1等席4,000円,2等席1,800円 - ホームページ
- http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2018/3072.html
【インターネット予約】
http://ticket.ntj.jac.go.jp(PC)
http://ticket.ntj.jac.go.jp/m(スマートフォン)