2019年4月19日
インド古典舞踊・オディッシーの魅力
5月特別企画公演
〈神々の残照-伝統と創造のあわいに舞う-〉
国立劇場制作部伝統芸能課 原田亮一
日本の8倍以上の面積を有し,多様な表情をみせる風土に根付きながら多彩な文化を育んできたインドは舞踊大国と言えます。ダイナミックかつ細やかな表現のバラタナティヤム,歌舞伎の隈取にも通じる独特の化粧法のカタカリ,軽快でリズミカルなステップが魅力のカタック,流麗な趣に満ちたマニプリという「四大舞踊」は御存じの方もいらっしゃるかと思いますが,その他にも固有の魅力を持つ多くの舞踊が息づいています。
その中から,国立劇場では5月特別企画公演「言葉~ひびく~身体Ⅰ〈神々の残照-伝統と創造のあわいに舞う-〉」において,オディッシーを取り上げ,上演します。
オディッシーは,インド東部,ベンガル湾に面するオディシャ州を中心に育まれてきた古典舞踊です。元々寺院で奉納されていたとされ,その歴史は2000年以上とも言われます。時代の波に翻弄されながら担い手や演じられる場所を変化させ,今日まで脈々と受け継がれてきました。

オディッシー・小野雅子
オディッシーの最大の特徴は美しさと力強さを併せ持つポーズにあると言えます。中でも代表的なのが「チョウコ」と「トリバンギ」です。チョウコは,両腕を横に広げて肩と同じ高さまで上げ,肘から先を直角に前に伸ばし,膝を曲げて腰を落とすというもので左右対称のポーズ。「トリバンギ」は首・腰・膝の3か所を曲げ,左右非対称のポーズです。これらのポーズは当地の寺院彫刻を想起させます。

スーリヤ寺院(拝殿)

スーリヤ寺院の代名詞・車輪の彫刻
オディシャ州の州都ブバネシュワル市内の寺院遺跡や,ブバネシュワルから車で約2時間のところにある,スーリヤ寺院(太陽寺院,ユネスコの世界文化遺産に登録)の壁面は,見事な彫刻で覆われています。巨大な車輪,馬,象やライオンなどの動物とともに数え切れないほどの人の姿も刻まれ,中にはオディッシーにも通じる要素が感じられるものもあります。

オディッシー・小野雅子

スーリヤ寺院の彫刻

ブバネシュワル・
ラジャラニ寺院の彫刻
また,スーリヤ寺院の拝殿の前には舞踊が奉納されたと言われる舞台があり,ここにも踊り手や笛,太鼓を演奏する楽人の彫刻がびっしりと見られます。

舞楽舞台

舞楽舞台より拝殿を望む
古くからこのような場で現在のオディッシーにつながる舞踊が奉納されていたかと思うと,舞踊という芸能の生命力と,身体を通した伝承の力強さを思わずにはいられません。
この公演では,長い時間の中で独自の魅力が磨かれてきたオディッシーを,インド政府公認のオディッシー・ダンサーである小野雅子を中心に,本場オディシャで活躍するダンサー,ミュージシャンによりお楽しみいただきます。また,「神」をキーワードに日本舞踊,トルコの旋回舞踊,コンテンポラリーダンスの新作も併せて上演します。多様な在り方を示す「身体の声」と言葉の競演にどうぞ御期待ください。
国立劇場 5月特別企画公演
『神々の残照―伝統と創造のあわいに舞う―』
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- お問合せ
- 【国立劇場チケットセンター】(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[一部IP電話等]
- 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅より徒歩5分
有楽町線・半蔵門線・南北線永田町駅より徒歩8分
都営バス都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車 徒歩1分
宿75(新宿駅西口-河田町-四谷駅前―三宅坂)三宅坂下車 徒歩1分
- 公演日時
- 2019年5月25日(土)午後2時30分開演
- 観覧料
- 一般:1等席6,000円,2等席4,000円
学生:1等席4,200円,2等席2,800円 - ホームページ
-
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2019/5125.html?lan=j
【インターネット予約】
http://ticket.ntj.jac.go.jp(パソコン)
http://ticket.ntj.jac.go.jp/m(スマートフォン)