2019年11月22日
命令があれば何でもできる
『タージマハルの衛兵』
新国立劇場制作部演劇(広報担当) 尾崎 悠
『タージマハルの衛兵』あらすじ
1648年,ムガル帝国のアグラ。幼馴染みのフマーユーンとバーブルが国を挙げての一大事業・タージマハル建設現場の警備に就いている。タージマハルは完成目前,そこへ皇帝陛下から命令が下る。「タージマハルに並ぶ美しい建造物を今後決して生み出してはならない」「建造に関わった2万人の手を切り落とせ」。執行を命ぜられたのは,フマーユーンとバーブルの二人……。
「タージマハルの衛兵」公演ちらし
本作の舞台はタージマハル建設中のムガル帝国で,その完成前夜から始まる物語です。登場人物は,フマーユーンとバーブルのたった二人。タージマハルの建設現場で夜通し警備をするのですが,幼馴染みでもある二人の会話からは,美と権力,支配者とレジスタンス,国への忠誠と個人の尊厳など,多くの問題をはらみ,時間が経つにつれて次第にスリリングになっていきます。
「個人」と「全体」の関係を描く作品を連続上演する企画「ことぜん」シリーズの第三弾でもある本作は,権威からの命令が個人の尊厳を踏みにじる様を残酷なまでに浮かび上がらせる舞台となっています。
「全体」の象徴
【新国立劇場の芸術監督・小川絵梨子の掲げる「ことぜん」とは】
2019/2020シーズンの幕開けはこの「ことぜん」シリーズ3本―10月公演『どん底』11月公演『あの出来事』12月公演『タージマハルの衛兵』からスタートします。「ことぜん」とは個と全という意味合いで,個人と国家,個人と社会構造,個人と集団の持つイデオロギーなど,「一人の人間と一つの集合体」の関係をテーマとしています。
閉塞感ある全体主義やその圧力に取り込まれる「個人」。しかしながらその「個人」が集まり「全体」を創りだしてしまう......。そんな切っても切れない個と集合体の関係性や,相互作用,その中での軋轢や葛藤を,三人の演出家がそれぞれの作品でそれぞれの視点から描きます。
「個」の象徴
新国立劇場 12月演劇公演『タージマハルの衛兵』
(住所)〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- お問合せ
- 【ボックスオフィス】(10:00~18:00)03-5352-9999
- 交通
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京王新線(都営新宿線乗入)新宿駅より1駅,初台駅中央口直結
- 公演日時
- 12月7日(土)~23日(月) ※プレビュー公演は2日(月),3日(火)
公演時間は以下のリンクを御覧ください。 - 観劇料
- 本公演:A席6,600円/B席3,300円
プレビュー公演:A席4,950円/B席2,200円 - ホームページ
- https://www.nntt.jac.go.jp/play/guards_at_the_taj/