2020年7月22日
日本人は寄席が大好き
国立演芸場 営業課 吉成 大四郎
落語や漫才を始め,講談,曲芸などの様々な演芸を取り交ぜて上演し,お楽しみいただく場所を「寄席」と呼んでおります。
この,寄席という呼び方の起こりには諸説あるようですが,まあ大方,人を「寄せ」集め,いろいろな芸を「寄せ」合わせたものだと考えてよろしいでしょう。そして私たち日本人はことのほか,この「寄せ」たものが好きなようです。
食べ物で言うと,皆さんが大好きなお鍋,その代表といえば「寄せ鍋」です。いや,私はキムチ鍋が好き,とか,何と言ってもしょっつる鍋が最高,という方もいらっしゃるでしょうが,寄せ鍋の場合はどんな具が入っていてもよいので,鍋といえばこう言っておけば間違いはありません。ちなみに「ちゃんこ鍋」というのも中身は寄せ鍋と一緒で,お相撲さんたちが仲間内で食事のことを「ちゃんこ」と言うので,お相撲さんが作ったり,お相撲さん向けに作ったものを一般の方に出すときに「ちゃんこ鍋」と言うのだそうです。その一方で,世の中には「闇鍋(やみなべ)」などという恐ろしいものもあるそうで,これは何が入っているかわからない,逆の意味での何でもありですね。
これも食べ物の話で,食い意地が張ってるなあと思われそうですが,「幕の内弁当」というものがあります。江戸時代に,お芝居見物のため,あるいは役者や裏方の弁当として,御飯と何種類ものおかずを「寄せ」合わせて一つの箱に詰めたものが始まりのようです。お弁当と言えばこの形が代表的で,駅弁などもまず思い浮かべるのはこれですね。こういうお弁当というのは日本独特のもののようで,冷たい料理はいやだと言うお国柄の方も多いようですが,いろいろな日本文化が広まったおかげで,今ではけっこう外国の皆さんにも人気があると聞いております。
さて,肝心の「寄席」ですが,はじめに述べたとおり種々の演芸を寄せ合わせて気軽に楽しむ場として愛されております。ちょうど幕の内弁当のように,色んなものを少しずつ,あれもこれも一度に楽しみたいという,日本人好みの形式なのだと思います。海外で似たようなものを探しますと,ヴォードヴィル・ショーというのがありますから,楽しい時間の過ごし方は洋の東西を問わず,ということですね。実際,寄席の出し物の中にはマジックなど洋風のものもありまして,西洋の料理も日本風にアレンジして洋食として楽しむ日本人の面目躍如といったところでしょうか。最後はまたもや食べ物の話になってしまいました。

国立演芸場
国立演芸場は,昭和54(1979)年3月の開場以来,演芸を上演しております。これからも,演芸をより身近に感じられる場所として,お客様にたくさんの笑いをお届けしてまいります。
国立演芸場
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
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0570-07-9900,03-3230-3000[一部IP電話等] - 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅から徒歩5分
半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅から徒歩5分
都営バス都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車徒歩1分 - 公演日時
- 8月上席:8月1日(土)~10日(月・祝)午前11時15分/午後2時30分開演
- 観覧料
- 一般1,600円,学生1,100円,65歳以上1,400円(全席指定)
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