2020年12月25日
寄席と縁起物
国立演芸場 営業課 川口 初
思いがけず「いいこと」に出くわして嬉しくなる経験はどなたにもあると思います。
例えば,雨上がりの空に虹が見えたり,手にした湯呑みに茶柱が立っていたり。
吉兆とも呼ばれるそれらには,何か行動を起こさせる力があります。「大安吉日」と掲げる宝くじ売場を目にして,今日買えば当たるのではないかと,思わず自分も列に並んでみたくなります。縁起を担ぐのはわたしたちの生活でごく身近なことです。
一年の始まりには,新年の幸せを願ういろいろな縁起物で溢れます。しめ縄や松などの装飾,またおせちやお屠蘇のような口にするもの,お楽しみ(だった)お年玉。そして形のない初夢に至るまで,一年を元気で過ごせるよう願い,世の中が平安で,安心して過ごせるようにという希望が込められています。
さて,今回御紹介する寄席においても日頃より縁起を大切にします。それはお客様との御縁,つながりを意味します。寄席では,客席がいっぱいになるように様々な願掛けをしています。たとえば,入口などで目にする寄席に出演をする人たちの名前は,筆で隙間なく詰めるように書かれています。また開場のときに耳にする太鼓の音や叩き方にも,千客万来の思いが込められています。
寄席のお正月では,お客様の一年の幸多きことを願っておめでたくお出迎えします。建物の入口には門松や紫幕,積まれた酒樽があります。ロビーや舞台では,鏡餅や紅白の繭玉などが目を楽しませます。


〔2020年撮影・撮影/山下功晃〕

例年,国立演芸場では新春国立名人会の初日(1月2日)に「鏡開き」というお酒の振る舞いがございます。また,同公演の期間中(1月7日まで),オープニングに「寿獅子」が舞台で行われ,きびきびとした舞と囃子で新年を寿ぎます。(感染症対策のため,来年は残念ながら「鏡開き」と「寿獅子」はございません。)
今年は,わたしたちの生活が激変し,穏やかに暮らせるありがたさをしみじみと感じる一年となりました。
国立演芸場は今夏の再開より,公演をどのように行うかを模索しつつ,お客様が安心して御覧になれる環境作りに取り組んでおります。
昭和54(1979)年3⽉の開場以来,国⽴演芸場はたくさんの笑いをお届けしてきました。新しい年が笑いに溢れる一年になることを願ってやみません。
国立演芸場
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
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- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[一部IP電話等] - 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅から徒歩5分
半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅から徒歩5分
都営バス都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車徒歩1分 - 公演日時
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新春国立名人会 1月2日(土)~7日(木)
※2日(土)は11時30分開演と3時30分開演,3日(日)~7日(木)は1時開演 - 観覧料
- 一般3,700円・学生2,600円(全席指定)
- ホームページ
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https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/engei/2020/3800.html?lan=j
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