2021年1月29日
聴いて楽しむ「組踊」
国立劇場おきなわ事業課 仲間修
「組踊」は,唱え,音楽,踊りによって構成される沖縄独特の歌舞劇であり,沖縄が誇る伝統芸能といえます。そのはじまりは18世紀の琉球王国時代にまでさかのぼり,沖縄が日本に復帰した1972(昭和47)年5月には,すぐれた伝統芸能として「雅楽」や「能楽」,「文楽」,「歌舞伎」と並ぶ国の重要無形文化財に指定されました。さらに2010(平成22)年11月にはユネスコの無形文化遺産条約に基づき,「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載されました。
組踊「執心鐘入」
「組踊」は「聴くもの」といわれるほど,音楽が重要な役割を担っています。組踊における音楽の担当を「地謡」といい,歌三線,箏,笛,胡弓,太鼓で構成されます。地謡により場面や状況の説明を行い,劇中における舞踊を伴奏し,登場人物の心情などを表します。
組踊の音楽の特徴として,歌持ち(前奏)をいれず歌い出すことが挙げられます。立方と呼ばれる演者の台詞にかぶせて歌い出す演唱法で,これを「仮名掛け」といいます。通常は「二仮名掛け」といって台詞の最後の二文字に歌がかかるようにして歌い出しますが,場面が緊迫してくると「三仮名掛け」や「四仮名掛け」も行われます。
組踊「孝行の巻」
組踊中で歌われる曲は斉唱と独唱があります。斉唱の形態が用いられるのは,場面や状況を説明したり,劇中に登場する舞踊の伴奏として歌われる場合です。登場人物の心情などの重要な場面は独唱で歌われます。独唱のときは立方の動きが少なく,歌の聴かせどころとなります。また,同じ曲を歌詞を変えてくり返し演唱するときは,一節ごとに歌い手を変えることが多いので,歌い手による違いを楽しむことができます。
琉球古典音楽はその曲にのせて様々な琉歌(個人の感慨などの心情を表現する沖縄の短詩)が歌詞として歌われます。組踊に登場する曲には決まった場面でよく使用されるものがあります。たとえば,旅を表す場面である道行では「金武節」や「口説」,別れや再会の場では「東江節」,劇の最後でめでたしめでたし,となるところでは「よしやいのう節」や「立雲節」といった曲です。
組踊「手水の縁」
3月には,数ある組踊の中で唯一の恋愛物である「手水の縁」(作・平敷屋朝敏)が国立劇場おきなわで上演されます。恋愛が禁止されていた時代の中で純愛が成就するという内容で,歌詞内容や使用されている音曲も見どころ,聴きどころの多い作品です。この機会にどうぞ組踊をお楽しみください。
国立劇場おきなわ 3月組踊公演 「手水の縁」
(住所)〒901-2122
沖縄県浦添市勢理客4丁目14番1号 国立劇場おきなわ 大劇場
- お問合せ
- 国立劇場おきなわチケットカウンター Tel 098-871-3350(10時~17時30分)
- 交通
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バス 勢理客バス停(国道58号沿い)下車 徒歩約10分
国立劇場おきなわ(結の街)バス停下車 徒歩約1分 - 公演日時
- 令和3年3月13日(土) 14時開演
- 観覧料
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一般:3,200円,大学生等:2,000円,高校生以下:1,000円
※その他,各種割引あり。 - ホームページ
- https://www.nt-okinawa.or.jp/