2021年4月2日
『斬られの仙太』正直なオススメポイント
新国立劇場 制作部 演劇広報担当 関 美希奈
2021年4月,新国立劇場では三好十郎の『斬られの仙太』を上演します。江戸末期から明治にかけての動乱期を舞台に,農民上がりの博徒・仙太郎が,水戸天狗党の乱に関わるようになるも,組織の理想と現実の間で翻弄される物語です。
「なんだか大変そうな舞台だな……。」と思われますか?分かります。さらに,本作の上演時間は休憩2回含めて4時間40分予定という長編(ちなみに,戯曲をそのまま上演すると7時間に!今回は一部をカットして上演します)。また,80余名の役が登場するため,関係性が複雑な上,なんとたった16人で演じ分けるという大胆な演出です。私個人としては楽しいエンタメ作品が大好きなのですが,それでも自分の興味を超えた作品に触れると,新しい知識が増えますし,観終わった後の達成感は自信になると思うのです。
『斬られの仙太』公演チラシ
例えば,本作の台本を読むまで「天狗党の乱」について知りませんでした。
天狗党とは,水戸藩の後継者争いで徳川慶喜の父・徳川斉昭を支持した一派のことで,天狗党の乱は水戸藩の尊王攘夷派だった天狗党が攘夷(外国勢力との闘い)を強行しようと起こした反乱のことです。天狗党はその後,京都へ向かって一橋慶喜(徳川慶喜)へ尊王攘夷を訴えようとするも失敗。最後は加賀藩に投降し,352名が処刑されました。
あまり有名ではないですが,大変な大事件だったのです。鎖国,黒船来航,日米修好通商条約,安政の大獄,桜田門外の変……などは,「日本史で習った!」とピンと来る出来事ばかりです。私はそれらと「天狗党の乱」の繋がりが分かり,歴史の奥深さを感じました。
こうして大枠を予習しておくと,物語の波に乗って意外と時間の長さは気にならなくなります。また,複雑な関係性も,俳優の演技を通すとスッと理解できたりします。本作はフルオーディションで選ばれた16名による演じ分けも注目ポイントの一つですが,一人で12名の人物を演じる方もいらっしゃったりと,そこに着目して楽しむ方法もあると思います。また,少しでも参考にしていただけるように,ゆるイラスト相関図を作りました!ご観劇前にチェックしていただくと,物語が入り込みやすくなるかもしれません。
本作は超大作ゆえになかなか上演されないため,舞台で観られる良い機会でもあります。そして何より,熾烈なオーディションを経た,作品に並々ならぬ情熱を懸ける俳優陣。そしてこの超大作に挑む覚悟を持って足を運んでくださるお客様……公演当日はとてもアツい劇場空間になりそうです!「気になるかも……!」と思われた方,是非御観劇にいらしてみてください。きっと忘れられない観劇体験になると思います。
新国くまさん「待ってまーす。」
新国立劇場 4月演劇公演『斬られの仙太』
(住所)〒151-0071
東京都渋谷区本町1-1-1
- 問合せ
- 【ボックスオフィス】(10:00~18:00)03-5352-9999
- 交通
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京王新線(都営新宿線乗入)新宿駅より1駅,初台駅中央口直結
- 開館時間
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2021年4月6日(火)~25日(日)
公演時間は下記ホームページを御確認ください。 - 休演日
- 4月12日(月)・19日(月)
- 観劇料
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A席7,700円 B席3,300円 Z席1,650円
※学生割引(5%),ジュニア割引(20%),高齢者割引(5%),当日学生割引(50%)など各種割引あり。
Z席は公演当日朝10:00から,新国立劇場Webボックスオフィス及びセブン-イレブンの端末操作により全席先着販売。1人1枚。詳細は下記ホームページを御確認ください。 - ホームページ
- https://www.nntt.jac.go.jp/play/kirarenosenta/