2021年7月19日
歌舞伎が描くファンタジー
-7月歌舞伎鑑賞教室『義経千本桜-河連法眼館の場-』-
国立劇場制作部歌舞伎課 日野慎也
「歌舞伎」と聞いて、みなさんはどのようなイメージをお持ちになりますか。「難しそう…」だったり、「時代劇の舞台版?」などと思っている方もいらっしゃると思います。歌舞伎にはそうしたイメージどおりの一面もあるかもしれませんが、ファンタジーや夢の世界を描いたお芝居もたくさんあります。
国立劇場の7月歌舞伎鑑賞教室でご覧いただく『義経千本桜-河連法眼館の場-』は、まさにその代表のようなお芝居で、満開の桜が美しい奈良・吉野を舞台に、人間に変身(変化)していたキツネが活躍する物語です。
作品のタイトル(外題)に名前が使われている「源義経」も、もちろん登場するのですが、この場面で中心となるのは、佐藤忠信という義経の家来です。兄・頼朝との不和によって流浪の身となった義経がかくまわれている吉野へ、忠信が2人現れるという不思議をきっかけに物語は始まります。当然ながら、2人のうち1人は偽者の忠信ということになりますが、ここで大きなポイントとなるのは、「初音」と名がつけられた鼓という楽器です。以前から、この鼓を打つと、どこからともなく忠信が現れ、鼓の音色に聞き惚れているのでした。この忠信の行動を奇妙に思っていた義経の恋人・静御前が、その正体を確かめようと再び鼓を打ち始めると……

源九郎狐(中村又五郎)
この鼓は、千年を超える年を経た狐の夫婦の皮を使って作られたもので、鼓を打つと現れる忠信は、実はその夫婦狐の子である源九郎狐が変身(変化)した姿だったのです。鼓となってしまった親狐を慕い、そのそばにいたい一心で、鼓を持つ静御前を守っていたと語りだす源九郎狐。親を思う心に打たれた義経は、その鼓を源九郎狐に与えます。喜ぶ源九郎狐は、義経を追う敵方の僧兵たちを妖術で退治し、物語は大団円を迎えます。 源九郎狐が親狐を思い慕うという美しい物語だけでなく、さまざまな仕掛けを使った狐の登場、武士の姿から狐の姿への早替りなど、ファンタジーを歌舞伎でみせるための、独特の演出方法からも目が離せません。

7月歌舞伎鑑賞教室
7月歌舞伎鑑賞教室は、夏休み期間に親子でお楽しみいただける特別割引料金の設定など、より多くの方に気軽に歌舞伎をご覧いただける公演となっています。ぜひこの機会に歌舞伎に触れてみてはいかがでしょうか。
国立劇場 令和3年7月歌舞伎鑑賞教室
解説 歌舞伎のみかた/『義経千本桜-河連法眼館の場-』
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- お問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
0570-07-9900/03-3230-3000[一部IP電話等] - 交通
-
東京メトロ半蔵門線〈半蔵門駅〉より徒歩5分、
半蔵門線・有楽町線・南北線〈永田町駅〉より徒歩8分
都営バス・都03(晴海埠頭-四谷駅)〈三宅坂〉より徒歩1分
※本数が少ないのでご注意ください。 - 公演日時
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【歌舞伎鑑賞教室】
令和3年7月3日(土)~27日(火) 午前11時開演/午後2時30分開演
※8日(木)、15日(木)は休演
※9日(金)、20日(火)は午後2時30分開演のみ
【社会人のための歌舞伎鑑賞教室】
令和3年7月9日(金)、20日(火) 午後6時開演
【親子で楽しむ歌舞伎教室】
令和3年7月20日(火)~26日(月) 午前11時開演/午後2時30分開演
※20日(火)は午後2時30分開演のみ
【Discover KABUKI(外国人のための歌舞伎鑑賞教室)】
令和3年7月27日(火) 午後1時30分開演/午後5時開演 - ご観劇料
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学生:全席 1,600円 一般:1等席(1、2階)4,100円、 2等席(3階)1,800円
【親子特別割引料金】
「親子で楽しむ歌舞伎教室」をお子様とご覧になるお客様は、特別料金で販売します。
親:1等席(1、2階)2,100円、2等席(3階)1,600円
子(18歳以下):全席1,100円
- ホームページ
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https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2021/3774.html?lan=j
【インターネット予約】
https://ticket.ntj.jac.go.jp(パソコン/スマートフォン共通)