2021年10月20日
まるでシェイクスピア劇!?
ドラマティックな『白鳥の湖』
新国立劇場制作部 舞踊広報担当 清水千奈美
白いチュチュとトウシューズを身にまとったバレリーナたち、恋に落ちる姫と王子、優雅な音楽…クラシック・バレエと言えばまず『白鳥の湖』を思い浮かべる人も多いはず。ナタリー・ポートマンがアカデミー主演女優賞を受賞したことで知られる、映画「ブラック・スワン」でご存じの方も多いのでは?
“チャイコフスキー三大バレエ”の一つとして知られ、世界中で愛され上演されている『白鳥の湖』。新国立劇場バレエ団ではその名作を、今秋に新制作で上演します。

©Takuya Uchiyama
クラシック・バレエの最高傑作として親しまれてきた『白鳥の湖』ですが、初演以来あらすじやラスト、設定など様々に異なるバージョンが上演されてきました。今回新国立劇場で新制作するのは、英国の巨匠ピーター・ライトによるバージョン。説得力のある物語展開と人物描写を重視した英国らしい演出が特徴で、バーミンガム・ロイヤルバレエなどで長年上演されている人気プロダクションです。

『白鳥の湖』バーミンガム・ロイヤルバレエ公演より
photo by Bill Cooper
ピーター・ライト版と他の演出の違いについてまず挙げるとすれば、国王の葬儀のシーンから物語がスタートすること。これによって、王子がなぜ結婚相手を選んで即位しなければならないのか、物語の背景が明らかになります。
3幕の宮廷の舞踏会、王子の花嫁候補たちの踊りも特徴的な演出のひとつ。オーソドックスな演出では、花嫁候補として呼ばれた姫たちがどのようなキャラクターなのか描かれることは少ないですが、ライト版では3人の花嫁候補がヴァリエーション(ソロの踊り)を踊り、各々が国を背負って赴いたというストーリーがしっかりと見える演出となっています。

©Takuya Uchiyama
このように、王子をはじめとするキャラクターたちの置かれた状況や設定が明確に示され、それぞれの心理描写も緻密に表現されているライト版。冒頭の王子に降りかかった重たい運命から白鳥の姫との出会い、裏切り、そして衝撃的なラストまで、大筋はオーソドックスな『白鳥の湖』と同じはずなのに、とてもドラマティックなのです。フィリップ・プロウズによる重厚感あふれる衣裳・美術も相まってゴシック的な雰囲気を纏っており、まるでシェイクスピア劇を見ているかのようです。

©Takuya Uchiyama
実は、2020年10月に上演が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の諸影響により延期となった本作品。満を持して1年越しのお披露目となります。ぜひ、クラシック・バレエの王道の魅力に、ドラマ性が加わった『白鳥の湖』をお楽しみください。
新国立劇場 2021/2022シーズンバレエ『白鳥の湖』<新制作>
(住所)〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- 問合せ
- 【新国立劇場ボックスオフィス】03-5352-9999(10:00~18:00)
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗入)初台駅 中央口直結
- 公演日程
-
2021年10月23日(土)14:00
2021年10月24日(日)14:00
2021年10月26日(火)13:00
2021年10月30日(土)13:00
2021年10月30日(土)18:30
2021年10月31日(日)14:00
2021年11月2日(火)14:00
2021年11月3日(水・祝)14:00 - チケット料
- S席14,300円/A席12,100円/B席8,800円/
C席6,600円/D席4,400円 (10%税込) - ウェブサイト
-
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/swanlake/