2021年11月19日
こつこつ時間をかけた作品、初お披露目!
『あーぶくたった、にいたった』
新国立劇場 制作部 演劇広報担当 関 美希奈
12月、新国立劇場小劇場にて上演する『あーぶくたった、にいたった』は、日本の不条理演劇を確立した別役実さんの作品です。
物語は、婚礼と思われる幕開きのシーンで、夫婦となった男と女が、まだ生まれぬ我が子の成長を想像していく、"もしも"の話が主軸です。結婚し、家を持ち、子どもを作り、老いていくという、いわゆる「普通の幸せな人生」の展開が、少しずつ歪み、不穏になっていきます。
戯曲は1976年(昭和51年)に書かれました。正直に申し上げると、私はこの戯曲を理解しきれてはいませんが、自意識過剰で、他者の目を気にしがちな「日本人っぽさ」は、令和の今も思い当たる点がありました。
別役さんの戯曲は、ある新劇の劇団では必ず経験するとか。以前に『あーぶくたった、にいたった』を読んで分からなかった方も、面白いと思った方も、今観るとどう感じるのか、新国立劇場に確かめにいらしていただけますと幸いです。

『あーぶくたった、にいたった』公演チラシ
また、本作は「こつこつプロジェクト」という企画から生まれました。「こつこつプロジェクト」とは、1か月の稽古で本番を迎える通常の舞台づくりではなく、1年間試演を重ねて作品を育てていく、ディベロップメント企画です。演出の西沢栄治さんは、「こつこつプロジェクト」第一期のメンバーとして、リーディング公演・1st試演会・2nd試演会・3rd試演会を経て、『あーぶくたった、にいたった』を育ててきました。そしてこの度ついに、本公演として初お披露目!となります。

2019年3月リーディング公演

2019年6月1st試演会

2019年8月2nd試演会

2020年3月3rd試演会
プロジェクトに参加したある俳優が、時間に追われない中で継続して稽古していると、いつの間にか別役さんの切り口でニュースを見るようになるなど、日常の中に別役さんを感じるようになったとおっしゃっていました。また、本作はむしろ(藁などで編んだ簡素な敷物)を敷いた上での会話が主なのですが、新国立劇場の屋上庭園にむしろを敷いて演じてみたり、戯曲の時系列の辻褄が合うかどうかシーンを入れ替えて検証してみるなど、稽古の中でいろいろ実験してみたそうです。
こうした無駄なようで無駄じゃない時間の積み重ねが、作品の奥深さに繋がっているんだと思います。
雰囲気ではなく、各シーンごとにリアルなドラマを立ち上げることを目指して「こつこつ」と作品の強度を上げてきた本作、必見です!ぜひ劇場にお越しくださいませ。
【関連リンク】
- 『あーぶくたった、にいたった』1st試演会レポート
- 『あーぶくたった、にいたった』2nd&3rd試演会レポート
- 西沢栄治会報誌インタビュー
- 『イロアセル』&『あーぶくたった、にいたった』合同取材会動画
新国立劇場 12月演劇公演『あーぶくたった、にいたった』
(住所)〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- 問合せ
- 【ボックスオフィス】(10:00~18:00)03-5352-9999
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗入)新宿駅より1駅、初台駅中央口直結
- 開館時間
- 2021年12月7日(火)~19日(日)
公演時間は下記ホームページをご確認ください。 - 休演日
- 12月13日(月)
- 観劇料
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A席6,600円 B席3,300円 Z席1,650円
※学生割引(5%)、ジュニア割引(20%)、高齢者割引(5%)、当日学生割引(50%)など各種割引あり。 Z席は公演当日朝10:00から、新国立劇場Webボックスオフィスおよびセブン-イレブンの端末操作により全席先着販売。1人1枚。詳細は下記ホームページをご確認ください。
- ホームページ
-
https://www.nntt.jac.go.jp/play/bubbling_and_boiling/