2022年6月24日
華やかに彩られた鬼退治
-国立劇場7月歌舞伎鑑賞教室『紅葉狩』-
国立劇場制作部歌舞伎課 中島美琴
鬼退治といえば、桃太郎や一寸法師などの昔話を思い浮かべる方が多いかと思いますが、歌舞伎にも鬼退治を題材にした演目があります。そのうちの一つが、国立劇場の7月歌舞伎鑑賞教室で上演する『紅葉狩』です。昔話では粗暴な悪者のイメージが強い鬼ですが、『紅葉狩』では恐ろしいだけではない、ただならぬ魅力が光ります。歌舞伎らしい様式美や華やかさ満載の鬼退治の物語をぜひ国立劇場でご覧ください。

平維茂(尾上松緑)
舞台は、平安時代の信濃国(現在の長野県)戸隠山。平維茂という武将が紅葉狩に来たところ、更科姫と名乗るお姫様の一行に呼び止められます。酒を勧められた維茂は、姫や侍女たちの踊りを見ているうちに眠ってしまいました。いつの間にか姫たちは姿を消し、眠り続ける維茂のもとに山神が現れて、戸隠山の鬼女の恐ろしさを忠告します。山神が去ると、更科姫に化けていた鬼女が正体をあらわし、維茂に襲い掛かります。維茂は名剣・小烏丸を用いて、激しい戦いの末に鬼女を退散させるという物語です。

更科姫(中村梅枝)
この作品は、能の『紅葉狩』をもとに明治時代に作られた舞踊劇で、様々な踊りを交えながら物語が進んでいきます。題名の通り、舞台上はまさに紅葉の見頃。その中で鮮やかな衣裳をまとった登場人物たちが踊る姿は絵画のような美しさです。また、音楽も豪華で、三種類の三味線音楽が交互に演奏され、物語を彩ります。目でも耳でも、華やかな情景を楽しめる舞踊劇となっています。

戸隠山の鬼女(中村梅枝)
そして、一番のみどころは、クライマックスの維茂と鬼女の対決です。二人の戦いは豪快な振付と演技で表現され、姫から鬼女への変身には、「ぶっかえり」と呼ばれる衣裳の変化や隈取(顔の骨格や筋肉を誇張した化粧法)といった歌舞伎らしい技法が使われています。一人の俳優が、艶やかで美しい更科姫と荒々しい風格を見せる鬼女をどう演じ分けるのかという点にも注目です。

7月歌舞伎鑑賞教室
7月歌舞伎鑑賞教室では、『紅葉狩』を歌舞伎俳優による解説付きでお楽しみいただけます。午後7時開演で、お勤めの方でもご覧になりやすい社会人のための公演や、夏休み中にお求めやすい特別料金でご覧いただける親子向けの公演もご用意しておりますので、ぜひこの機会に歌舞伎に触れてみてはいかがでしょうか。
国立劇場 令和4年7月歌舞伎鑑賞教室
解説 歌舞伎のみかた / 新歌舞伎十八番の内 紅葉狩
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- 問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
- 0570-07-9900 / 03-3230-3000[一部IP電話等]
- 交通
- 東京メトロ半蔵門線〈半蔵門駅〉より徒歩5分、
- 半蔵門線・有楽町線・南北線〈永田町駅〉より徒歩8分
- 都営バス・都03(晴海埠頭-四谷駅)〈三宅坂〉より徒歩1分
- ※バスの本数が少ないのでご注意ください。
- 開館時間
- 【歌舞伎鑑賞教室】
- 令和4年7月3日(日)~27日(水) 午前11時開演/午後2時30分開演
- ※7日(木)、18日(月・祝)は休演
- ※8日(金)、20日(水)は午後2時30分開演のみ
- 【社会人のための歌舞伎鑑賞教室】
- 令和4年7月8日(金)、20日(水) 午後7時開演
- 【親子で楽しむ歌舞伎教室】
- 令和4年7月20日(水)~26日(火) 午前11時開演/午後2時30分開演
- ※20日(水)は午後2時30分開演のみ
- 【Discover KABUKI(外国人のための歌舞伎鑑賞教室)】
- 令和4年7月27日(水) 午前11時開演/午後2時30分開演
- 観覧料
(税込) - 学生=全席1,800円
一般=1等席(1、2階)4,500円、2等席(3階)3,000円 - 【親子特別割引料金】
- 「親子で楽しむ歌舞伎教室」をお子様とご覧になるお客様は、特別料金でお求めいただけます。
- 親=1等席(1、2階)2,500円、2等席(3階)2,000円
- 子(18歳以下)=全席1,500円
- ホームページ
-
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2022/4713.html?lan=j
- 【インターネット予約】
-
https://ticket.ntj.jac.go.jp/(パソコン/スマートフォン共通)