2022年8月25日
『碁太平記白石噺』51年ぶりの通し上演にご期待ください
国立劇場制作部伝統芸能課 吉矢正之
国立劇場の9月文楽公演は、改修のため来年10月をもって一旦閉場する「初代国立劇場さよなら公演」として、仇討ち物の名作『碁太平記白石噺』を通し上演いたします。奥州白石(福島県)の姉妹が亡父の敵である剣術指南の侍を討ち果した事件を劇化し、江戸幕府に反抗を企てた由比正雪をモデルとした兵法家の活躍を軸とした物語です。このたび、第一部(11時開演)に奥州篇において事件の発端から、宇治兵部助常悦(由比正雪)の登場に至る「逆井村の段」を上演いたしますが、これは実に51年ぶりの上演となります。第二部(午後2時15分開演)の江戸篇につなげます。通し狂言の上演、稀曲の伝承を目的としてきた国立劇場ならではの企画です。
奥州白坂宿(福島県)近郷の逆井村で百姓が悪代官に手討ちにされた事件が勃発、貧しくも手を携え精いっぱい生きてきた家族は大きな悲しみに打ちひしがれます。そうした血涙を絞る前半から、後半に剣豪と兵法家が肝胆相照らす勇壮な場面へと移る「逆井村」のみごとな展開、幻の名作の登場にどうぞご期待ください。
『碁太平記白石噺』逆井村の段
第二部の江戸篇では、逆井村で殺された父の仇討ちへの決意を気丈に示した娘おのぶが、吉原の廓で宮城野と名乗り傾城となっている姉に再会します。宮城野は父の非業の最期を知り、嘆き悲しみ、姉妹手を携えての仇討ちに向かおうとするのですが・・・。盛り場浅草雷門での珍騒動、絢爛たる吉原揚屋、そして悲嘆にくれる宮城野の哀感、姉妹を見守る揚屋の亭主の心配りと、洒落た劇的展開とさまざまな情感が織り込まれた名作です。
『碁太平記白石噺』新吉原揚屋の段
第二部では他に「二代目国立劇場」建設にちなんだご祝儀演目『寿柱立万歳』を、そして第三部(午後6時15分開演)では平安時代に朝廷を震撼させた安倍一族の反乱「前九年の役」を劇化したスケール満点の大作『奥州安達原』を上演します。いずれも見ごたえ聴きごたえたっぷりの名作揃い、57年の歴史を刻みながら去り行く“初代国立劇場”に名残りを惜しみつつ、人形浄瑠璃文楽の名作をお楽しみください。
『奥州安達原』貞任物語の段
国立劇場9月文楽公演
(住所)〒102-8656
東京都千代田区隼町4-1
- 問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
- 0570-07-9900 / 03-3230-3000[一部IP電話等]
- 交通
- 東京メトロ半蔵門線〈半蔵門駅〉より徒歩5分、
- 半蔵門線・有楽町線・南北線〈永田町駅〉より徒歩8分
- 都営バス・都03(晴海埠頭-四谷駅)〈三宅坂〉より徒歩1分
- ※バスの本数が少ないのでご注意ください。
- 開館時間
- 9月3日(土)~20日(火)
- 第一部 午前11時開演 第二部 午後2時15分開演 第三部 午後5時15分開演
- 休演日
- 8日(木)
- 観覧料
(税込) - (一般)1等席7,000円,2等席6,000円
- (学生)1等席4,900円,2等席4,200円
- ※通し割引(第一部+第二部、1等のみ)13,000円
- ホームページ
-
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2022/4911.html?lan=j
- 【インターネット予約】
-
https://ticket.ntj.jac.go.jp/
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