2023年3月24日
バレエで楽しむシェイクスピア
新国立劇場制作部 舞踊広報担当 清水千奈美
『ハムレット』『ロメオとジュリエット』『ヴェニスの商人』『リア王』…数々の傑作を世に生み出した英国の劇作家ウィリアム・シェイクスピア。彼が亡くなってから400年以上経った今でも、その魅力は色褪せるどころか、ますます輝きを増しています。今なお世界中で上演され続けており、演劇にとどまらず映画やオペラ、ミュージカルなど様々な形で親しまれています。
有名なセリフが数多く知られるシェイクスピア劇ですが、実は言葉を使わず踊りで表現するバレエでも、シェイクスピア戯曲をもとにした作品がたくさんあるのです。中でも一際人気なのはやはり『ロメオとジュリエット』ではないでしょうか。新国立劇場バレエ団で上演されているのは、イギリスを代表する振付家ケネス・マクミランによるバージョン。演技と踊りのステップが極限まで融合した、非常に演劇的な振付で有名です。言葉はなくとも、シェイクスピアが描いたドラマの緩急の妙を丁寧に紡ぎ、登場人物の心理を反映したリアルな身体表現で見る者の心を掴みます。

『ロメオとジュリエット』撮影:鹿摩隆司
そして2023年のゴールデンウィーク、新国立劇場では「シェイクスピア・ダブルビル」と題してシェイクスピア戯曲を原作としたバレエ作品が二本立てで上演されます。
ひとつめは妖精の王と女王、そして人間の恋人2組が繰り広げる騒動を描いた喜劇『夏の夜の夢』。シェイクスピア生誕400年を記念して1964年に英国ロイヤルバレエが初演した作品で、結婚式での定番曲「結婚行進曲」も登場するメンデルスゾーンの同名曲に、英国の巨匠フレデリック・アシュトンが振り付けました。美しい妖精の世界や妖精パックのコミカルな踊りなど、バレエならではの楽しさに溢れています。

『夏の夜の夢』Photo by Satoshi Yasuda

『夏の夜の夢』
©2017 ROH. Photograph by Tristram Kenton
ふたつめはシェイクスピアの四大悲劇のひとつ、『マクベス』です。こちらは新国立劇場バレエ団オリジナル作品として、世界初演でお届けします。振付を担うのは、オリヴィエ賞など数多くの賞を受賞し、日本では『良い子はみんなご褒美がもらえる』『ピサロ』などの演劇の演出を手掛けているイギリス人振付家のウィル・タケット。野心、疑念、錯乱…と極限へ追い込まれていく登場人物の心理を重厚に描いた『マクベス』が、バレエとしてどのように描かれるか期待が高まります。

『マクベス』Photo by Satoshi Yasuda

『マクベス』リハーサルにて、
ウィル・タケット(中央)とマクベス役の福岡雄大、マクベス夫人役の米沢 唯
シェイクスピアの喜劇と悲劇を一度に楽しめるこちらの公演。2作品をパッケージとしてみることで、コインの裏表のような人間の本質、そしてそれを見事に描いたシェイクスピアの凄さを体感できること間違いなしです。
新国立劇場バレエ団 2022/2023シーズン 「シェイクスピア・ダブルビル」
(住所)〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- 問合せ
- 【新国立劇場ボックスオフィス】03-5352-9999(10:00~18:00)
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗入)初台駅 中央口直結
- 公演日程
- 2023年4月29日(土・祝)14:00
- 2023年4月30日(日)14:00
- 2023年5月2日(火)19:00
- 2023年5月3日(水・祝)14:00
- 2023年5月4日(木・祝)14:00
- 2023年5月5日(金・祝)14:00
- 2023年5月6日(土)14:00
- 観覧料
(税込) - S席13,200円/A席11,000円/B席7,700円/C席4,400円/D席3,300円 (10%税込)
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