2023年7月25日
国立能楽堂開場40周年にあたって
国立能楽堂企画制作課 大貫誠之
昭和58年(1983年)9月に東京・千駄ヶ谷に設立された国立能楽堂は開場から間もなく40年を迎えます。600年以上の歴史を有する能・狂言の歩みの中ではわずかな時間ではありますが、能楽(能・狂言)の保存・振興の拠点の一つとして着実に活動を続けてきました。公演事業のほか、能楽師の後継者養成や能楽の図書・資料の収集・公開といった事業も積極的に行っておりますが、本稿では、記念年に合わせて予定されております主催公演を中心にご紹介いたします。
【国立能楽堂開場40周年記念公演(9月公演)】
開場月、9月に行われる公演はいずれも「国立能楽堂開場40周年記念公演」として5日間開催されます。天下泰平・国土安穏を寿ぐ「翁」で初日6日の幕が開き、9日には能の名曲「船弁慶」、15日には上演の珍しい能「白田村」などが演じられます。22日は〈狂言の会〉として狂言を中心にお楽しみいただき、最終日30日は仇討ち物の大曲、能「望月」で掉尾を飾ります。
【10・11・12月公演】
10月26日の特別企画公演では能「檜垣」が上演されます。能の大成者・世阿弥作の秘曲のひとつで、国立能楽堂では今回が2度目の上演です。また11月24・25日の企画公演は〈能と組踊〉として、沖縄の古典芸能・組踊と能との競演の機会となります。12月23日の〈リクエスト能・狂言〉は日頃より国立能楽堂を支えて下さる方々への感謝の気持ちを込め、お客様の投票により演目が決まる新企画です。
【1・2・3月公演】
新春1月6日の催しでは干支ゆかりの「春日龍神」を上演、狂言方による「町積」の長大な語りにも注目です。2月は恒例の〈絵画と能・狂言〉、没後300年を迎える英一蝶の絵画作品に関連する能・狂言を特集上演いたします。そして3月20日の老女物の大曲「鸚鵡小町」にて40周年記念を結びます。
【能・狂言の魅力に触れる】
能・狂言を見るきっかけがなかなか…という方にお勧めなのが〈国立能楽堂ショーケース〉、能と狂言をコンパクトにお楽しみいただく新しいスタイルの公演です。今年度後半は10月20日と1月19日に催されます。そのほか、開場40周年を記念して特別公開講座やシンポジウムなども予定されており、能・狂言に親しむ機会を例年にもまして多く設けておりますので、ぜひ国立能楽堂へお運び下さり、その洗練された芸の魅力をご堪能いただければ幸いに存じます。


国立能楽堂(左)外観(右)能舞台
竣工は昭和58年(1983年)、設計は大江宏。
舞台は総檜造り、客席数は627席。
国立能楽堂 開場40周年記念公演
(住所)〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-18-1
- 問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
- 0570-07-9900 / 03-3230-3000[PHS・IP電話]
- 交通
- JR(総武線)千駄ケ谷駅下車・徒歩5分
- 都営地下鉄(大江戸線)国立競技場駅下車A4出口・徒歩5分
- 東京メトロ(副都心線)北参道駅下車出口1または2・徒歩7分
- 都バス(早81:渋谷-早大正門・黒77:目黒-千駄ヶ谷駅前)
- 千駄ヶ谷駅前下車・徒歩5分
- ハチ公バス(神宮の杜ルート)国立能楽堂下車・すぐ
- 公演日時
と演目 - ・令和5年9月6日(水)午後1時開演
- 「翁」/能「清経」/狂言「栗焼」/能「山姥」
- ・令和5年9月9日(土)午後1時開演
- 能「枕慈童」/狂言「月見座頭」/能「船弁慶」
- ・令和5年9月15日(金)午後5時30分開演
- 一調一声「三井寺」/狂言「萩大名」/能「白田村」
- ・令和5年9月22日(金)午後5時30分開演
- 〈狂言の会〉「末広かり」/「鬮罪人」/「獅子聟」
- ・令和5年9月30日(土)午後1時開演
- 能「芭蕉」/狂言「文蔵」/能「望月」
- 観覧料
(税込) - ・9月6日
- 一般:正面12,000円/脇正面9,600円/中正面8,400円
- 学生:脇正面6,700円/中正面5,900円
- ・9月9日・15日・30日
- 一般:正面9,500円/脇正面7,500円/中正面6,500円
- 学生:脇正面5,300円/中正面4,600円
- ・9月22日
- 一般:正面6,800円/脇正面5,700円/中正面4,700円
- 学生:脇正面4,000円/中正面3,300円
- ホームページ
-
https://ticket.ntj.jac.go.jp/
【国立劇場チケットセンター】