2023年10月25日
しばしのお別れ
国立演芸場 営業課 吉成 大四郎
国立劇場は昭和41年、国立演芸場は昭和54年にそれぞれ開場し、歌舞伎、文楽、演芸そのほかの芸能を上演し、たくさんのお客様にご来場いただいてまいりました。
国立演芸場は正式名称を「国立演芸資料館」と言い、演芸の資料を収集保存し公開するのが主たる目的で、300席の演芸ホールはその添え物というのが建前でした。そしてその名の通り資料展示室と図書閲覧室があって、いずれも一般の方が無料で利用できます。(資料閲覧室は後に、伝統芸能情報館が建てられた時そちらへ統合されました。)その他にも養成事業として、後継者の少ない寄席囃子、太神楽の演者を養成し、寄席芸能を支える貴重な人材を輩出しております。このように興行だけでなく、芸能の保存振興に役立つのが国立ならではのところで、とりわけ過去の舞台の記録映像、音声などは大変貴重なアーカイブです。
とは言え、それまで演芸になじみのない場所に建てられた国立演芸場は、当初から集客に大変苦労してきました。寄席といえば繁華街にあるイメージが強い中、隣が最高裁判所という立地は今でも噺の枕のネタに使われます。それでも地道に公演を続けてきた結果、なじみのお客様も次第に増え、おかげさまで44年目を迎えました。国立劇場、国立演芸場ともにこの10月でいったん閉場し、新しい劇場の開場を目指して準備期間に入りますが、いずれ新しく生まれ変わった国立劇場、国立演芸場で皆様に再会できることを楽しみにお待ちしております。
昭和54年の国立演芸場の開場時には、「日本の寄席芸」と銘打ち、当時の人気者総出演というにふさわしい顔ぶれで、3月23日から29日までの7日間9ステージにわたって開場記念公演を繰り広げました。落語を中心として、講談、浪曲、漫才、漫談、曲芸、奇術、物真似、声帯模写、ボーイズなど、実に盛りだくさんです。初代国立演芸場さよなら特別公演の最後を飾る10月特別企画公演は、開場時と同じく「日本の寄席芸」と題して、10月14日から25日まで(19日と21日はお休み)の間、10ステージにわたってバラエティーに富んだ芸能を詰め込んだ舞台をお届けします。これでしばしのお別れとなりますので、国立演芸場の寄席をたっぷりとご堪能ください。

(演芸場外観写真)
再開場までの期間中は、他の劇場を借りて公演を行ってまいりますので、引き続きご愛顧のほどをお願いいたします。
令和6年1月の国立演芸場主催公演は紀尾井小ホールを会場に予定しております。詳しい情報は決まり次第国立演芸場ホームページに掲載してまいりますので、そちらをご確認ください。
国立演芸場
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
- 問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
- 0570-07-9900,03-3230-3000[一部IP電話等]
- 交通
- 東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅から徒歩5分
- 半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅から徒歩5分
- 都営バス都03(晴海埠頭-四谷駅)三宅坂下車徒歩1分
- 公演日程
- 10月特別企画公演「日本の寄席芸」
- 10月14日(土)~25日(水)午後1時開演
- (22日は午後6時、25日は12時30分開演)
- (19・21日はお休み)
- 観覧料
- 一般4,000円,学生2,800円(全席指定)
- ホームページ
-
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/engei/2021/1152.html?lan=j
- 【インターネット予約】
-
http://ticket.ntj.jac.go.jp/m
(スマートフォン)