2024年3月29日
国立文楽劇場開場40周年記念公演開幕
国立文楽劇場部企画制作課 渕田裕介
国立文楽劇場は、地元大阪をはじめ、関西の各界関係者からの強い要望により、昭和59年(1984)3月に開場しました。我が国の優れた伝統芸能であり、世界に誇る舞台芸術である人形浄瑠璃文楽を中心に、広く上方芸能を保存・継承し、発展させるための拠点として活動してきました。
このたび、開場40周年を迎えた記念公演の第1弾として、4月文楽公演が催されます。3部制の公演で文楽の多様な魅力に触れる機会です。

『絵本太功記』 撮影=青木信二
第1部は、『絵本太功記』から武智光秀(史実の明智光秀)が主君・尾田春長(織田信長)を討つに至る経緯、光秀一族が滅亡に至る悲劇、真柴久吉(羽柴秀吉。後の豊臣秀吉)との対決までを上演します。光秀が謀反を決意する「千本通光秀館の段」は、文楽劇場が80年ぶりに復活させた場面です。

『和田合戦女舞鶴』 撮影=滝澤めぐみ
第2部は、文楽の源流のひとつ豊竹座を創設した豊竹若太夫の名跡が54年ぶりに復活する襲名披露を中心にした演目構成です。『団子売』で子孫繁栄を寿ぎ、『豊竹呂太夫改め十一代目豊竹若太夫襲名披露口上』でゆかりの文楽技芸員がご挨拶を申し上げます。
襲名披露狂言は、『和田合戦女舞鶴』「市若初陣の段」です。鎌倉時代初期の和田合戦を題材に、女武者として知られた板額が、武芸ではなく知恵を働かせ、初陣の愛する息子・市若を犠牲にして、政争を治める役割を果たす物語です。今回は文楽劇場開場40周年を機に、今まで上演の絶えていた端場(導入部)が84年ぶりに復活します。
大喜利(演目の最後)には、狂言や歌舞伎舞踊を題材にした『釣女』で華やかな喜劇をご覧いただきます。

『増補大江山』
第3部は、源義経が最も頼りにする家臣で無骨なイメージの武蔵坊弁慶の秘められたロマンスを題材にした『御所桜堀川夜討』「弁慶上使の段」をご覧いただきます。平家出身の正室を迎えた義経は、兄・頼朝から疑念を抱かれ窮地に立ちます。弁慶は、正室の身代わりを腰元信夫という娘に頼みますが、信夫の母・おわさから身の上話をされ、父親と再会を果たすまではと、頼みを断られます。すると信夫の父親が意外な人物であることが分かるのです。
大詰の『増補大江山』「戻り橋の段」は、名刀・髭切丸のエピソードです。源氏の大将頼光の家臣・渡辺綱は、深夜の戻り橋で出会った娘・若菜を親元へ送ることになります。綱は若菜の正体を鬼と見破り、髭切丸を振るって、鬼の片腕を斬り落とします。
この機会に、ぜひ国立文楽劇場へお越しください。
国立文楽劇場 4月文楽公演
(住所)〒542-0073大阪府大阪市中央区日本橋1丁目12番10号
- 問合せ
- 【国立劇場チケットセンター】(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[PHS・IP電話] - 交通
- 大阪メトロ・近鉄電車 日本橋駅7号出口より徒歩1分
- 公演日程
- 4月6日(土)~4月29日(月・祝)
【第1部】11時開演 【第2部】2時30分開演 【第3部】6時15分開演
※17日(水)は休演 - 観覧料
- 【第1部・第2部】1等¥5,800(学生¥4,000),2等¥4,000(学生¥4,000)
- 【第3部】 1等¥5,500(学生¥3,800),2等¥3,800(学生¥3,800)
- ホームページ
-
<4月文楽公演>
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2024/6414.html?lan=j
-
【インターネット予約】
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