2024年4月26日
「色」のいろいろ
国立演芸場 営業課 吉成 大四郎
国立劇場、国立演芸場は昨年10月にいったん閉場し、新しい劇場の開場を目指して準備期間に入っておりますが、その間も他の劇場をお借りし、公演を行っております。
5月の国立演芸場は、紀尾井小ホールにて、21日から30日まで、前後半5日ずつ「国立演芸場寄席」と銘打って公演を行います。昨年までは「定席公演」として、上席(1日~10日の興行)・中席(11日~20日の興行)を10日ずつ行っていたものですが、変わらないのは、落語以外にも曲芸や漫才など色々な演芸を交えて番組を組む「寄席」の形式で行うことです。
寄席で上演される、落語や講談以外の様々な演目を一括して「色物」と呼びますが、「色を添える」、「彩りを添える」といった意味の言葉です。寄席の最後に登場することを「トリ」と言い、その興業の主役です。また、トリの一つ前に登場するのを「膝替わり」と言います。膝替わりには色物が入ることが多く、トリを引き立てるための重要な役割を果たします。
話は変わって、能には「色入り」「色無し」という独特の言葉があります。「紅入」「紅無」とも書き、装束や扇などに紅色が入るかどうかで、若さや華やかさのある役かどうかを区別する、能全体の演出にかかわるかなり重要なポイントです。
一方、歌舞伎には「色悪」という役柄があります。悪役だけれども色気や凄みがあって、独特の魅力を漂わせるものです。色悪の代表的な役の一つが「忠臣蔵」の五段目に出てくる定九郎で、これを工夫した「中村仲蔵」の話は落語の演目にもなっています。
さて、落語家自身についても、「色気」があるかどうかは大事なことです。色気と言っても性的な魅力ということには限りません。「粋」とか「風情」にもつながり、かなり感覚的なもので、個人の好みにもよりますので、なかなかこれと説明するのは困難です。また、生の舞台でないと伝わらないものがありますので、ぜひ劇場まで足を運んで体験していただきたいと思います。

再開場までの期間中は、紀尾井小ホールのほか、いくつかの劇場を借りて公演を行ってまいりますので、引き続きご愛顧のほどをお願いいたします。寄席形式ではない「花形演芸会」や特別企画公演なども、引き続き行っています。詳しい情報は決まり次第、国立演芸場ホームページに掲載してまいりますので、そちらをご確認ください。


会場:紀尾井小ホール
(住所)東京都千代田区紀尾井町6-5
- 問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[一部IP電話等] - 交通
- 《JR》《東京メトロ》四ツ谷駅 麴町口・赤坂口より6分
- 《東京メトロ》麹町駅2番・赤坂見附駅D・永田町駅7番より8分
- 公演日程
- 5月「国立演芸場寄席」
前半 5月21日(火)~25日(土)午後1時開演
前半 5月26日(日)~30日(木)午後1時開演 - 観覧料
- 一般2,200円,学生1,500円(全席指定)
- ホームページ
-
【インターネット予約】
http://ticket.ntj.jac.go.jp/(パソコン)
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