2024年9月27日
幻の大作?スイス建国の伝説を描くオペラ「ウィリアム・テル」ついに上演!
新国立劇場制作部オペラ 広報担当:高梨木綿子
「『ウィリアム・テル』序曲」という曲をご存じでしょうか?タララッタララッ、タラタッタッタという軽快な曲は、テレビやイベントでよく流れるおなじみの曲です。『ウィリアム・テル』序曲は、ロッシーニのオペラ『ウィリアム・テル』の冒頭、本編が始まる前に置かれた音楽です。有名な部分はこの序曲の最終部分で、「スイス軍の行進」と題されています。馬の走る足音にそっくりなのも納得ですね。

「ウィリアム・テル」メインビジュアル
オペラ『ウィリアム・テル』は、上演に5時間もかかるという大作です。日本では、原語のフランス語で舞台上演されたことがなく、いわば幻の大作といえます。伝説の弓の名手ウィリアム・テルを中心にした歴史劇で、オーストリアに支配されていた14世紀スイス・アルプス地方の農民たちの苦悩、支配者との衝突と自由の勝利という歴史が、大河ドラマのようにダイナミックに語られます。
ストーリーのもう一つの中心は、スイスの若者アルノルドとハプスブルク家の皇女マティルドの身分違いの恋。アルノルドは、この恋を成就させるためにはスイスを裏切り、オーストリア兵として手柄を立てるしかないと悩んでいるのです。

「ウィリアム・テル」人物相関図
『ウィリアム・テル』といえばもう一つ有名なのが、りんごのエピソード。支配者の総督ジェスレルが、ウィリアム・テルを不敬罪で捕え、彼が弓の名手と知ると「息子の頭に載せたりんごを射抜けなければ死刑にする」と残酷な宣告をします。最愛の息子に矢を向けるのをためらい、屈辱に耐え、許しを請うウィリアム・テルですが、息子ジェミは「お父さんの腕を信じている」と誇り高くその身をさらし、テルは見事にジェミの頭上のりんごを射抜くのです。
ウィリアム・テル伝説は、スイスの3つの州が同盟を結びオーストリアに対抗した歴史を背景にしています。この伝説は広く親しまれていて、現在もスイス各地に「ウィリアム・テルが○○した地」という名所が沢山存在するそうです。
そして、この伝説をドラマティックな戯曲にしたのがドイツの大作家シラーです。さらに、その戯曲をもとにイタリアの作曲家ロッシーニがフランス語で壮大なオペラを創り上げました。なお、ウィリアム・テルはフランス語の表記ではギヨーム・テルとなります。
オペラ『ウィリアム・テル』からは、スイス建国の物語と共に、自由を求める思想や自然、そして感情の動きを重んじたロマン主義の香りが伝わってきます。

左上より大野和士、ヤニス・コッコス、ゲジム・ミシュケタ、ルネ・バルベラ、安井陽子、妻屋秀和、オルガ・ペレチャッコ、齊藤純子
大作で上演困難な『ウィリアム・テル』ですが、実は近年世界中でオリジナルのフランス語版の上演がちょっとしたブームになっています。日本でも今年11月、ついに新国立劇場で上演されます。
出演者もゲジム・ミシュケタ、オルガ・ペレチャッコ、ルネ・バルベラ、妻屋秀和、安井陽子と内外のスター歌手揃いです。指揮は、この作品の上演が念願であった、世界的指揮者の大野和士です。めったに見られない大作ですので、ぜひお見逃しなく。
新国立劇場2024/2025シーズンオペラ『ウィリアム・テル』
(住所)〒171-0031
東京都渋谷区本町1-1-1
- 問合せ
- 03-5352-9999(新国立劇場ボックスオフィス)
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗り入れ)初台駅徒歩1分
- 開館時間
- 2024年11月20日(水)16:00/23日(土・祝)14:00/26日(火)14:00/28日(木)14:00/30日(土)14:00
- 観覧料
- S席31,900円 A席26,400円 B席18,700円 C席13,200円 D席7,700円
※学生割引(5%)、ジュニア割引(20%)、高齢者割引5%、当日学生割引(50%)など各種割引あり。
Z席1,650円は公演当日朝10:00から販売。ご購入の際は下記ホームページで購入方法をご確認ください。 - Webサイト