2024年11月25日
1838年の史料をもとに甦る
組踊「大川敵討」の復元上演!
国立劇場おきなわ 調査研究専門嘱託員 茂木仁史
琉球芸能は、沖縄が琉球国だった時代に生まれた芸能です。国王の代替わりの祝宴の際、首里城の御庭に舞台が設置され、琉球舞踊や組踊などを、すべて士族(男性)が演じていました。廃藩置県により琉球国が消滅すると、琉球芸能は場所を市井の劇場に移し、市民を観客として演じられるようになりました。劇場構造が変わったことはもちろん、衣裳や演出にも変化が起こりました。
国立劇場おきなわでは、今年12月14日に組踊「大川敵討」を復元上演いたします。

復元された1719年の舞台
組踊 「銘苅子」
国立劇場おきなわ2022年
琉球国時代、首里城の舞台は古式の能舞台に似た形式で、橋掛りが舞台後方に向かって設置されていました。国立劇場おきなわでは、これまでに野外公演として1719年の舞台構造を復元し、踊奉行の玉城朝薫が作った五作品を上演しました。1719年当時は舞台背後の鏡板も無く、地方(音楽演奏)も舞台上に座しているシンプルな舞台でしたが、この舞台形式は琉球国時代中にも姿を変えています。今回は劇場内での上演ですが、1838年の史料に基づき、特に舞台構造と衣裳を復元して19世紀の琉球文化の精華を甦らせる試みです。

紅板締縮緬
作・吉村晴子 ほか
国立劇場おきなわ蔵
1838年には ①舞台に松を立て、➁舞台背後に紺地の幕を掛けていました。幕が吊られたことで、その左右が役者の登退場口にも使われ、地方は幕裏で演奏するようになります。この舞台を再現し上演します。
また、文献史料には、若い男の子は「板締縮緬」衣裳を着ると記されていますが、沖縄に現存衣裳がなく、ながらく謎とされてきました。しかし、群馬県高崎市の染色家・吉村晴子氏らが復元に成功し、今回は若按司(少年王子)衣裳に仕立てて披露します。

組踊「大川敵討」
国立劇場おきなわ 2018年
組踊「大川敵討」は敵討物の名作です。謀反人が按司(領主)を殺害し、若按司を人質にして城を乗っ取ります。忠臣の妻は若按司救出のため、一人で城に若按司の乳母として乗り込みます。忠臣方のスパイと疑う相手を巧みに言いくるめ、謀反人も美貌でうまくまるめこんでしまいます。城内の様子を味方の間者に内通して機を窺い、夫の率いる軍勢としめし合わせて仇討ちを果たします。組踊には珍しく女性が活躍することから、別名「忠孝婦人」と呼ばれています。
国立劇場おきなわ 12月研究公演 1838年の史料に拠る 組踊「大川敵討 -糺しの場より敵討まで-」
(住所)〒901-2122
沖縄県浦添市勢理客四丁目14番1号 国立劇場おきなわ 大劇場
- 問合せ
- 国立劇場おきなわ チケットカウンター Tel (098) 871-3350(午前10時~午後5時30分)
- 交通
- バス:国立劇場おきなわ(結の街)バス停下車徒歩約1分、勢理客バス停下車徒歩約10分
タクシー:那覇空港から約20分 - 公演日程
- 令和6年12月14日(土) 午後2時開演
- 観劇料
- 一般 ¥3,700 大学生 ¥2,000 3才以上高校生以下 ¥1,000 障がい者 ¥2,000
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