2024年12月26日
国立劇場ならではの「通し狂言」を新国立劇場で!
―国立劇場初春歌舞伎公演『彦山権現誓助剣』―
国立劇場制作部歌舞伎課 大久保 慧人
国立劇場では昭和41年の開場以来、上演が途絶えていた場面を復活させるなど、物語の全体像がわかりやすい「通し狂言」のスタイルの歌舞伎公演をご提供してきました。劇場が昨年10月に一時閉場した後、外部の施設を借りて、国立劇場ならではの公演を未来へつなげています。
令和7年初春歌舞伎公演では、国立劇場が復活させた代表的な通し狂言のひとつで、仇討ちを描いた名作『彦山権現誓助剣』をご覧いただきます。

毛谷村六助(尾上菊之助)

一味斎姉娘お園(中村時蔵)

京極内匠(坂東彦三郎)
物語は、九州・彦山の麓・毛谷村に住む心優しい青年の六助が、大名家の剣術師範を勤める吉岡一味斎に見込まれて、剣術の奥義を伝授されるところから始まります。しかしその後、一味斎は剣術師範の同僚・京極内匠に暗殺されてしまいます。後に残された娘のお園は、父の仇を討つため、母や妹と共に旅立ちます。一方、逃亡を続ける内匠は、微塵弾正と名前を変え、人のいい六助を騙すことで、別の大名家の剣術師範の職を得ます。お園と出会った六助は、自らを騙した弾正こそ、師匠の一味斎を闇討ちにした張本人と知り、仇討ちを助けることを誓うのでした。

台本の編集にあたって使用した資料の一部
通常は、六助とお園が出会う場面(通称「毛谷村」)のみが上演されますが、今回は原作の人形浄瑠璃や江戸時代の台本を参考にして、物語の始まりから大団円まで、ストーリーの全容をお見せいたします。果たして六助たちは無事に一味斎の仇を討てるのか。滅多に見ることのできない、名作の結末を劇場でご覧ください。

新国立劇場に出現した特設花道
(9月歌舞伎公演『夏祭浪花鑑』の例)
公演を行う新国立劇場中劇場は、舞台と客席の距離が近く、俳優たちの熱気ある演技を間近にお楽しみいただけます。特に、花道の周辺の席はまるでお芝居の世界に入り込んだかのように臨場感が満点で、新年の観劇初めにおすすめです。
尾上菊五郎を中心とした、国立劇場の初芝居ではお馴染みの顔ぶれに加え、将来が楽しみな年若い俳優たちも勢ぞろいします。新春らしい華やかな舞台をお楽しみに!

初春歌舞伎公演
国立劇場 令和7年初春歌舞伎公演
『通し狂言 彦山権現誓助剣』
会場 新国立劇場中劇場
〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- 問合せ
- 《国立劇場チケットセンター》(午前10時~午後6時)
0570(07)9900/03(3230)3000[一部IP電話等] - 交通
- 京王新線 初台駅 中央口直結
- 公演日程
- 令和7年1月5日(日)~27日(月)
午後1時開演
※14日(火)、22日(水)は休演 - 観劇料
- 一般=1等席14,000円、 2等席10,000円、 3等席4,000円、花道正面席20,000円
学生=1等席9,800円、 2等席7,000円、 3等席2,800円、花道正面席14,000円 - ホームページ
-
【インターネット購入】
https://ticket.ntj.jac.go.jp/(パソコン・スマートフォン共通)