2025年8月27日
爽秋の大阪で文楽を――異例のロングラン公演!
国立文楽劇場部企画制作課 中島雄一

国立文楽劇場 令和7年9月・10月爽秋文楽特別公演ちらし
国立文楽劇場では、大阪・関西万博期間中に当たる9月から10月にかけて、異例の36日間のロングランによる文楽公演を開催します。Aプロ・Bプロ・Cプロの3部制で、人形浄瑠璃文楽の多様な魅力に触れられるほか、海外からのお客様への対応として、お手持ちのスマートフォン等で日本語・英語の字幕を表示することができる「字幕アプリ」の導入や、AプロとCプロの冒頭には、英語を交えた解説映像の上映を予定しております。

『恋女房染分手綱』重の井子別れの段
Aプロは、『恋女房染分手綱』で幕を開けます。大名家の姫君の乳人として仕える母の重の井と、生まれてすぐに離れ離れになった息子の三吉。幼いながら馬方として働く三吉は、大名家の屋敷で重の井と再会します。わが子への情愛を持ちながらも、乳人という立場であるために母と名乗れない重の井の苦悩と、母の愛を求める三吉の健気な姿が、胸を打ちます。続いての『日高川入相花王』は、安珍清姫の道成寺の伝説を下敷きにした作品。嫉妬に狂う清姫が蛇と化して日高川を渡る場面を上演します。

『心中天網島』道行名残の橋づくし
Bプロの『心中天網島』は、妻子ある紙屋治兵衛と遊女小春――幕開きからすでに追い詰められて心中を決意している二人を設定し、二人を取り巻く人々の苦悩を描いた作品です。心中の決意を胸に河庄へやってきた治兵衛は、兄の孫右衛門が小春の心底を問いただすのを立ち聞きします。本心は心中したくないと話す小春の心変わりに、逆上した治兵衛は縁切りを申し渡します。この小春の心変わりは、実は治兵衛を心配する人々への配慮によるものでした。しかし、治兵衛と小春は心中に向かう運命を辿ります。

『曾根崎心中』天満屋の段
Cプロの『曾根崎心中』は、近松門左衛門が『心中天網島』初演の十七年前に書き下ろした作品です。主人に返す大金を騙し取られた平野屋の手代徳兵衛と馴染みの遊女・お初の心中が美しく描かれます。心中の場面である「天神森の段」は、昨秋のアメリカ公演で上演され、絶賛されました。また、大ヒット映画『国宝』における劇中劇の歌舞伎作品の原作としても有名な作品です。
AプロとCプロの上演時間は、どちらも休憩を含めて約2時間で、文楽の入門としても最適です。また、公演期間の途中でAプロとCプロの開演時間を入れ替え、同じ時間帯でどちらのプログラムもお楽しみいただけるよう設定しました。文楽劇場開場以来初めてとなるロングラン公演にどうぞご期待ください!
国立文楽劇場 9・10月爽秋文楽特別公演
9月6日(土)~10月14日(火)
※9月12日(金)、24日(水)、10月6日(月)は休演
9月6日(土)~9月25日(木)
【Aプロ】午前11時開演 【Bプロ】午後2時開演 【Cプロ】午後6時開演
9月26日(金)~10月14日(火)
【Cプロ】午前11時開演 【Bプロ】午後2時開演 【Aプロ】午後6時開演
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2025/7/
国立文楽劇場
(住所)〒542-0073大阪府大阪市中央区日本橋1丁目12番10号
- 問合せ
- 【国立劇場チケットセンター】(午前10時~午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[PHS・IP電話] - 交通
- 大阪メトロ・近鉄電車 日本橋駅7号出口より徒歩1分
- チケット
- 【Aプロ・Cプロ】 1等\6,000(学生\4,200)
【Bプロ】 1等\6,700(学生\4,600) - ホームページ
- <爽秋文楽特別公演>
- 【インターネット予約】
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