2025年10月28日
ホリデーシーズンの定番!『くるみ割り人形』
新国立劇場 舞踊広報 清水千奈美
🄫Takeshi Kanou
「クラシック・バレエといえば?」
そう問われたとき、多くの方が思い浮かべるのは、“チャイコフスキー三大バレエ”ではないでしょうか。バレエ音楽の巨匠として知られるチャイコフスキーですが、実は彼が手がけたバレエ音楽は「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」の3作品のみ。それにもかかわらず、これらの作品は初演から一世紀以上を経た今でも、世界中で愛され続けています。
この三大バレエの中で、私がバレエを初めてご覧になる方に特におすすめしたいのは、『くるみ割り人形』です。公演時間は休憩を含めて約2時間と比較的コンパクトで、初めてのバレエ鑑賞にはぴったりの作品です。
🄫Takeshi Kanou
『くるみ割り人形』は、クリスマス・イブの夜、少女クララがくるみ割り人形とともに夢の世界を旅する物語。クリスマスパーティのシーンから幕を開け、魔法で大きくなるクリスマスツリーや幻想的な雪の国など、ホリデーシーズンにぴったりの華やかな世界が広がります。世界各国のバレエ団が年末年始にこの作品を上演し、子どもから大人まで幅広い世代に愛されている、まさに季節の風物詩です。
日本では年末といえば、ベートーヴェンの「交響曲第9番」が定番ですが、新国立劇場でも『くるみ割り人形』は毎年多くのお客様にご来場いただいています。公演期間中、劇場内には大きなクリスマスツリーが飾られ、観劇とともにクリスマスムードもお楽しみいただけます。
コリン・リッチモンドによる舞台模型
また、『くるみ割り人形』は音楽の面でも親しみやすく、バレエ作品の中で最も知られていると言えるかもしれません。第2幕のお菓子の国で繰り広げられるディヴェルティスマン(舞踊の余興)では、「花のワルツ」「葦笛の踊り」「金平糖の精の踊り」など、CMなどでも耳にしたことがあるような名曲が登場します。自然と口ずさみたくなるような、どこか懐かしさを感じさせるメロディが、物語をいっそう魅力的に彩ります。
今シーズン、新国立劇場では『くるみ割り人形』を新制作でお届けします。振付はイギリスの振付家ウィル・タケットによるもので、今年9月から創作が始まりました。第2幕のお菓子の国では、従来のように各国の踊りを披露するのではなく、タケット版では可愛らしいスイーツたちが登場し、キュートな踊りを繰り広げます。どんなお菓子たちが登場し、どのような衣裳や舞台美術で表現されるのかは、初日の幕が開くまでのお楽しみ。新作ならではのワクワク感も、この舞台の大きな魅力の一つです。
ウィル・タケットとのリハーサルの様子 撮影:鹿摩隆司
衣裳の試作品を確認するデザイナーのコリン・リッチモンド
このように、『くるみ割り人形』はバレエを初めて観る方にも、何度も観たことのある方にも、それぞれの楽しみ方ができる作品です。セリフのないバレエですが、踊りだけで物語が語られるその世界に、きっと心を奪われるはず。ぜひホリデーシーズンの特別なひとときとして、新国立劇場で『くるみ割り人形』をお楽しみください。
新国立劇場バレエ団 『くるみ割り人形』 <新制作>
- 公演日
- 2025年12月19日(金)~2026年1月4日(日)
- 観覧料
- S席:15,950円 A席:13,750円 B席:10,450円 C席:8,250円 D席:6,050円
Z席:1,650円 (10%税込)
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/nutcracker/![]()
(令和7年度 文化庁 劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業)
新国立劇場
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