2026年5月28日
ギリシャ悲劇がオペラになった『エレクトラ』
新国立劇場制作部オペラ 広報担当 高梨木綿子
『エレクトラ』はソフォクレスの悲劇を原作に、オーストリアの作家ホフマンスタールの戯曲を台本として、リヒャルト・シュトラウスが20世紀初頭に作曲したオペラです。ギリシャ悲劇を体験してみたい方、オーケストラ好きの方に特にお薦めしたい、大迫力の作品です。
ソフォクレスは、世界史に登場する「ギリシャ悲劇三大詩人」のひとり。ギリシャ三大詩人はそれぞれ、父アガメムノン王を殺され母に復讐するギリシャ神話の王女エレクトラを題材にした悲劇を書いています。
ギリシャをはじめ地中海諸国を旅すると古代劇場の遺跡がたくさんありますが、中でも今から2500年近く前に、アテネのアクロポリスの劇場のデュオニソス祭で演劇コンクールのように上演されていたのが、ギリシャ悲劇です。ギリシャ悲劇の成立背景は、古代ギリシャのオリンピアでゼウスに捧げられた古代オリンピックとも似ています。
アクロポリスのデュオニソス劇場遺跡
ドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスは、音楽史ではワーグナーの後継者とされています。一般的に、クラシック音楽の人気曲はショパンをはじめ圧倒的に19世紀ロマン派の作品が多いのですが、ワーグナーはロマン派の頂点とされ、R.シュトラウスは更に発展した「後期ロマン派」と呼ばれています。
ワーグナーもR.シュトラウスも、大編成のオーケストラを駆使したダイナミックな表現が特徴のひとつ。『エレクトラ』の管弦楽はあらゆるオペラの中で最大規模といいます。巨大なオーケストラと歌手の声が融合したり対決したり、感情の渦、あるいは感情のジェットコースターのようなダイナミックな音響に没入する感覚は、やはり圧倒的です。「オーケストラは聴くけれど、オペラはオーケストラが歌の伴奏に徹してしまうから面白くない」と思っている方は、ぜひ聴いてみてください。
オペラの『エレクトラ』は、エレクトラとその母クリテムネストラ、妹クリソテミスの3人の女性の心理が中心に書かれています。それぞれの立場で、肉親との葛藤をどう乗り越えていくかということが激しく語られます。
女の子が父を愛し母親を敵視する「エレクトラ・コンプレックス」はユングが提唱した概念です。逆パターンで男児が父を敵視することを、フロイトは「エディプス・コンプレックス」と提唱していました。そんな心理分析が注目された時代に生まれたオペラ『エレクトラ』には、古代神話の陰惨な復讐物語というだけでなく、苦悩する3人の女性の感情をたどる面白さもあります。
大野和士、J.エラート、藤村実穂子、A.アッソーニ、H.ハウゲルド、工藤和真、E.シリンス、森谷真理
新国立劇場では、ヨーロッパのオペラ賞に次々輝いている演出家ヨハネス・エラートを招き、「圧倒的感動を呼ぶエレクトラ」と激賞されるソプラノ歌手アイレ・アッソーニ、世界最高峰のメゾソプラノ藤村実穂子ら名歌手たちの出演、新国立劇場オペラ芸術監督の大野和士の指揮で上演します。ぜひご体験ください。
演出プレゼンテーションを行うエラート氏
新国立劇場オペラ『エレクトラ』
2026年6月29日(月)19:00、7月2日(木)14:00、5日(日)14:00、8日(水)14:00、12日(日)14:00
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/elektra/
S席29,700円 ・ A席24,200円 ・ B席17,600円 ・ C席11,000円 ・ D席7,700円・ Z席(当日のみ)1,650円
※U25/39優待チケット…25歳/39歳以下はS・A席5,000円/11,000円になる優待チケットあり。(「新国メンバーズ」への無料登録が必要です)
新国立劇場オペラパレス
東京都渋谷区本町1-1-1
- ホームページ
- 問合せ
- 03-5352-9999
- 交通
- 京王新線初台駅(新宿から1駅)徒歩1分
