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本イベントは終了しました。
たくさんのご参加ありがとうございました。

和食ユネスコ無形文化遺産 登録10周年記念セミナー 和食がユネスコ無形文化遺産に登録された意義を考え、和食の新たな境地を切り開く

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和食がユネスコ無形文化遺産に登録され10周年を迎えたことを記念し、文化庁主催の和食ユネスコ無形文化遺産 登録10周年記念セミナーが、令和6年1月27日に京都調理師専門学校で開催されました。

目次

動画

イベント概要

日程 2024年1月27日(土)13:00〜16:00
会場 大和学園京都調理師専門学校 太秦キャンパス 4階ホスピタリティーホール
参加人数 117名

基調講演

伏木 亨 氏(甲子園大学学長・京都大学名誉教授)
登壇者:
伏木 亨 氏(甲子園大学学長・京都大学名誉教授)

基調講演では、日本料理の低迷期からの変革と、ユネスコ無形文化遺産登録10周年がもたらす和食の未来に焦点が当てられました。約15年前、欧米の食事が日本にも広がり食文化が変化する中で、伝統を着実に守るだけではなく、時代に合った一番おいしい日本料理を提供するため、料理の研究が始まったとのことです。和食で使われてこなかった食材やドミナントフレーバーに挑戦した事例等が紹介され、“日本料理の境界線”を探求し、日本料理の進化と新しい味わいが生まれた歴史が振り返られました。
伏木亨氏からは、「変わっていることを意識しながら、大事なことは変えない」という姿勢」が重要なキーワードであると述べられました。

だしの飲み比べ

栗栖 正博 氏(たん熊北店主人)
登壇者:栗栖 正博 氏(たん熊北店主人)

日本料理アカデミー理事長兼たん熊北店主人 栗栖 正博 氏による、だしの取り方について会場内でデモンストレーションを行うとともに解説がなされました。水・昆布・鰹の分量をはじめ、成分のうま味を引き出す温度管理についても触れられ、家庭でも実践できるだしのおいしい取り方に皆が聞き入りました。
次に、京都の名店、たん熊北店・山ばな平八茶屋・萬重・辰巳屋・魚三楼から提供されただしが参加者に振る舞われ、色・香り・うま味の違いを堪能する特別な時間が設けられました。参加者は、実際に飲み比べることで、味の濃淡、風味、香りなどがそれぞれの店によって、大きく違う事を実感することができました。

だしの飲み比べ

パネルディスカッション

パネルディスカッション画像
登壇者:
伏木 亨 氏(甲子園大学学長・京都大学名誉教授)
村田 吉弘 氏(菊乃井主人・日本料理アカデミー名誉理事長)
大原 千鶴 氏(料理研究家)
田中 幹人 氏(大和学園副理事長)
増田 德兵衞 氏(株式会社増田德兵衞商店)

村田吉弘氏からは、日本料理を文化の一環として位置づけるためにユネスコ登録実現までの経緯とその苦労が話されました。当時(登録日:2013年12月4日)は京料理店への来店来客数が減少していることに危機感を覚えたことから、学者と料理人が共同で組織を立ち上げ、日本料理の研究がはじまったとのことです。今では世界中に日本料理が広がり、売上高も拡大を続けています。文化を守り進化を続けてきた歴史に参加者は惹きつけられました。

大原千鶴氏からは、日本料理は食材に感謝して最後までおいしく使い、環境に優しく、健康にもよい食事を自然と実践してきていることが伝えられました。SDGsの解決策としても注目を集めていることから、日本料理は次世代の先進的な料理として更に拡大することが期待されていると紹介されました。

パネルディスカッション画像

田中幹人氏からは、教育者の視点から本セミナーを実施している京都調理師専門学校で和食を学ぶ人が2倍に増加しており、特に京都での学びを求める留学生が増えていることが伝えられました。また、外国人の日本料理人を日本へ招き、調理師専門学校にて1ヵ月間トレーニングを行った後、各日本料理店舗でトレーニングを行う取組みにも触れられ、外国人の日本料理人が世界で活躍する土壌を作ることが重要ではないかと述べられました。

増田德兵衞氏からは、日本酒が世界で人気を広げている理由や、温度によって異なる味わいが楽しめることについて触れられました。また、日本酒は、冷酒、雪冷、熱燗など、様々な温度帯で楽しむことができるお酒であり、そのバリエーションが多いことの魅力に触れられました。日本酒は日本料理に最適なだけでなく、他の様々な料理とも相性が良いことが特徴とされ、その魅力がユネスコ無形文化遺産として未来に受け継がれることへの期待が高まりました。

この度のセミナーを通じて、和食ユネスコ無形文化遺産登録10周年を記念し、伝統と変革が共存する中で、日本料理の文化は大切に保護されてきただけではなく、職人の知恵と努力によりその技術が進化し新たな文化を形成し続けていることが再認識されました。そして、日本料理の文化を継承するために一人一人が家庭でも地域でも活用していくことが日本の未来につながることが共有され、参加者の心に深い印象を残す貴重な時間となりました。

参加した学生からの声

N・Hさん

私は、今回のセミナーに参加し、たくさんあったお話の中でも、だしの飲み比べが印象に残っている。なぜなら、ほとんど同じ食材を使っていてもお店によって、味や色、香り、喉ごしなどに違いがあることに感銘を受けたからだ。
話を聞く中で、水一升でのかつお節と昆布の分量の割合の違いや、あるお店では水の硬度などにもこだわりがあり、そこに各お店のプライドや、和食に対する熱意を感じた。今回のセミナーで感じたことを活かし、全てのお客様に対し、1つ1つ丁寧且つこだわりのある料理を提供できる仕事をしたいと思う。
また、学校では一つの方法しか教わらなかったが、こうした一つの技法でも二つ三つの方法があるなど、考え方の違いなどもこれから吸収していきたいと思う。また、多くの方に和食の魅力を伝えるためには、まず和食の歴史と伝統を深く理解してもらうことが重要だと考える。そのために、和食の起源や発展、伝統的な調理法や食材の使用法などを解説する展示会などを開催し、和食の歴史を学びながら、実際に具体的な料理を体験することで和食の魅力をより深く理解できると考える。

T・Sさん

今日のセミナーを受け、私の印象にとても強く残ったのは、つい10数年前まで日本食という文化は衰退しつつある状況であったということです。私がしっかり日本食というものを知るころにはもうすでに日本食・和食という文化は世界に浸透していてとても誇らしく、守り続けていかなければならないものという地位を確立していたので、そんな時代しか知らない私からしたらとても信じられない話でした。その時和食の文化をユネスコ無形文化遺産にまで押し上げることに尽力された方々が紡いできた和食という文化に宿る思いを私達のような新しい世代の料理人になる人達がしっかりつないで更なる飛躍を目指し、また次の世代へとつないでいけるような文化を守るサイクルの重要な担い手になりたいです。そのために残り1年間の学生生活をまだまだ時間があると慢心せず日々の実習を大事にして1年後就職するまでにレベルアップした自分でいられるように頑張っていきたいと思います。

M・Mさん

このセミナーに参加して、一番に感じたことは和食(日本料理)業界で活躍されている皆様のそれぞれの分野に関わったお話を聞くことが出来る機会はこの先あるのだろうかと思う程、記憶に残る会になったことです。
まず、伏木教授はこれまでされてきた研究のことから和食の未来について講演してくださいました。『保存と活用』(不易流行)この2つを上手くバランス良く使うのが和食のポイントでもあると仰っていました。日本人が今でこそ胸を張って言える“Japanese food"は少し前まで地味・古臭いというイメージがありました。ですが、『伝統を引き継ぎつつ、時代に合った変化もしていこう』と意識を変えたことで素晴らしい文化として広まっていったのだとお話をしてくださいました。
伝統=昔と同じやり方という捉え方から少し視点を変えることでこんなにも世界中の方々に受け入れてもらえる食文化になるとは想像がつきませんでした。
また、大原様の、食について興味を持ってもらう為の方法の一つとして食卓のご飯の味付けをあえて薄くし、自分で味を付けていくことも大切だという考えにとても深く共感しました。その素材の美味しさを活かせる味付けを知ることが『不易流行』の考え方を理解することにも繋がっていくとも思いました。
今、有り難いことに世界中で和食文化が受け入れられています。私としては伏木教授の研究テーマにあった「どんな食材でも日本料理に仕立て上げることが出来る』この方法を駆使して、ベースは崩さず新しいものとして沢山の方に「日本料理をより身近に感じていただけたら嬉しいと思います。今後の私の目標は、日々の生活でもそのものの保存すべきものと活用できるものを区別できる様にし、現存しない方法で一つの文化を創り上げることです。
最後になりましたが、今回のセミナーで見聞きした経験はとても有意義なものとなりました。本当にあっという間の3時間でした。ありがとうございました。

H・Lさん

この度和食文化がユネスコ無形文化遺産に登録十周年というイベントでセミナーに参加させていただきました。今回のテーマ「食文化振興に向けた取組」について興味が湧きまして、日本食の頂点の人達の思考と目標をより深く認識することができました。
まず、「どんな食材で作っても、これが日本料理」ということをお客様に感じさせる発想は私にとってとても面白いと思いました。また外国の食材を日本料理に用いるのが難しいことだと思いきや、新たな試みも紹介されました。料理人達が今まで使ったことない色合い、匂いや味などを添え挑戦しました。特にビーツを味噌に加えるとは思いも寄らなかったので、一発で目を惹かれました。
そして、今回のイベント中も5種類のだしを試させていただきました。店それぞれ昆布の種類、量、鰹節との割合が違って、多様な風味が良かったです。
料理人、料理研究家、日本酒の蔵元の方々とのパネルディスカッションが最も大切な部分でありました。皆様の知識や思いを重ねて日本食の文化を守るため、一生懸命に研究し、新たな食事メニュー等を開発しました。職人達が日本料理に対しての熱意と志を強く感じていて感心しました。

参加者アンケート結果

セミナー参加者へのアンケート結果から、和食に関する意識が変わった方が78%にものぼり、本セミナーで和食の奥深さを改めて認識し、和食の魅力や向き合い方を改めて見直したいという意欲的な意見が多く得られました。

また、セミナー参加により、和食に関する意識が変わった方が82%にものぼり、本セミナーで和食の奥深さを改めて認識し、和食の魅力や向き合い方を改めて見直したいという意欲的な意見が多く得られました。

Q.

本セミナーの内容を5段階で評価し、その理由をお聞かせください

回答者数:106名 有効回答数:106

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とても満足
満足
普通
少し不満
とても不満
無回答
※グラフ上の数値は、小数点以下を四捨五入して表記しているため、合計が100%とならない場合がある。
  • 本セミナーの全体的な評価については、“とても満足”、“満足”があわせて約9割を占めており、高く評価された。
  • 評価理由については、セミナー内容が専門的でありながらもわかりやすかったこと、だしの飲み比べ体験があったことなどが評価を高くしているものと考えられた。
Q.

和食に関する意識(興味)が変わりましたか

回答者数:106名 有効回答数:106

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変わった
あまり変わらなかった
無回答
※グラフ上の数値は、小数点以下を四捨五入して表記しているため、合計が100%とならない場合がある。
  • 和食に関する意識(興味)が“変わった”とする回答は78%であり、本セミナーにより、和食に関する意識(興味)の変容を促す効果があったことが伺える。
  • 意識(興味)の変容内容については、和食に関する理解の醸成・促進に関する意見が多くを占めており、また、一部には日々の行動へ反映しようとする意見も見られ、行動変容も促すきっかけとなるセミナーであったものと考えられる。
  • 「変わらなかった」とする参加者の中には、「自分の中で考えていたことと合っていたから」「もともとかなり興味はあったので再認識できたという感覚」という意見があり、従来より和食に関心が高い方が多いと考えられる。また、「和食は大好きで、おいしいお店を食べ歩く等、元から関心があり、普段から料理人に聞いたりしていた」などの意見もあり、自ら知見を深めている傾向がうかがえる。これらのことから、階層(知識・関心の度合い)に合わせたセミナーの開催をすることで、更なる意識(興味)を変えることができると考えられる。​

「変わった」と回答した人の意見
  • 京都の方の京料理に対する熱い気持ちに感動した。
  • どんな時代も和食を守り続けてくださった方々に感謝したいと思いました。
  • おいしく、ではなく工程や合わせ方等一歩踏み込んでいただきたい。
  • 日本食の発展がミラノコレクションのような意味を持たせているのはすごいと思った。
  • 15.6年前の和食が低迷していたことは知らなかった、うまみ、だし、昆布が世界に通じるという今の情報を知った。
  • ここ数十年の産学協同による試行錯誤により、現在の和食の奥深さを再認識できました。
  • 日常では、意外と和食に触れる機会が少なくなっている印象があったが、和食との接点の持ち方を意識することでより身近にとんでもない食文化があったのだなと思いました。
  • お出汁の取り方だけでも、もう少し丁寧にやってみれば、日々の食事も少し変わるかなぁと感じます。ちゃんとやってみよう、やる気になりました。
  • 和食を子供達にもっと伝えたい。
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