イベント情報
開催日 | 2024年2月11日(日)18:00〜 |
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開催場所 | 京料理 鳥米 |
参加人数 | 13名 |
京都伏見で最も古い酒蔵のひとつである「増田德兵衞商店」とのコラボ企画。
お酒の神様「松尾大社」の鳥居横に店を構える「京料理鳥米」に14代目当主、増田德兵衞氏を迎え、旬の食材を使用した京料理を堪能しながら、日本酒の歴史や文化について学ぶ機会となりました。
まずは「京料理鳥米」6代目主人・田中良典氏の挨拶から始まりました。
「2022年11月には、京料理が国の登録無形文化財に登録されましたし、私たち料理人は京料理を守っていかなくてはいけません。では守るためにはどうしたらいいのでしょうか。私は守るためには、常に変化し、新しい調理技術を身につけていかなくてはいけないと思っております。例えば、昔は感覚で行われていた調理を科学の力で数値化することや、未来に起こるかもしれない日本の食材不足や世界の菜食需要に向けて、精進料理を基にプラントベースの料理の開発も行っています」。
今回のイベントは、日本酒の魅力に触れるため、増田德兵衞氏にもお越しいただきました。
「私は2013年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録された際に、検討会で委員を務めておりました。そして現在は、日本の伝統的酒造りのユネスコ無形文化遺産登録に向けて動いております。日本酒は、世界に類を見ないほどに複雑で繊細な発酵技術を要するお酒です」。
増田德兵衞商店は、1675年創業、「月の桂」を代表銘柄とし、にごり酒と古酒の元祖で知られる酒蔵。今回は、日本で初めて開発された元祖スパークリングにごり酒「純米にごり酒」と低アルコール純米酒「稼ぎ頭」、地元伏見で米から育てた純米大吟醸「平安京」の3本を用意してくださいました。
「日本酒に合わない料理はないんです。ワインの場合、シャンパーニュから白、赤と、銘柄を変えて楽しむことが多いですが、日本酒は最初から最後まで同じ銘柄で通せます。今日はまったくタイプが違う3種類を用意しましたので、いろんな料理に合わせてみてください」。
「京料理鳥米」は、明治21年創業。松尾一帯で養鶏場を営んでいたことから、鶏専門の料理屋になりました。昔は、鶏の水炊きやすき焼きを中心に出していましたが、先代が京料理に昇華させ、現当主の代で、鶏懐石を確立。今回のコースも、秘伝の鶏スープと独自の方法で熟成させた鶏を使った名物・活鶏水煮(水だき)をはじめ、鶏の照り焼きを忍ばせた、かぶら蒸しや鶏五目ご飯など、鶏料理が織り交ぜられていました。
「京料理はまずは目で楽しむもの」と、田中良典氏。料理には、名工の器や現代作家による写し、お直しを繰り返して大切に受け継がれている漆器が使われていました。
また、四季折々の植え込みと大小の灯籠を配した庭園も見どころ。田中良典氏は庭園管理士の資格を持ち、庭の手入れや剪定も自ら行っているそう。
参加者の方々も、会が始まる前から、部屋のしつらいや庭園を愛で、料理が運ばれてくる度に、盛り付けや器との取り合わせの美しさに見惚れ、温かい料理は湯気と共に立ち上る香りに鼻をくすぐられ、料理を味わうと同時に咀嚼した音までも耳で堪能。まさに京料理の真髄である五感で楽しめる会となりました。