イベント情報
開催日 | 2024年2月25日(日)17:30〜 |
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開催場所 | 京料理 萬重 |
参加人数 | 14名 |
和食ユネスコ無形文化遺産登録10周年を記念し、文化庁「食文化振興加速化事業」の一環として、登録無形文化財「京料理」と共に育まれてきた文化や歴史を体感いただくイベントを実施。
今回の会場は食に一家言ある西陣の旦那衆に愛される「京料理 萬重」。当日の座敷は、貝合せをモチーフにした日本画や雛人形が飾られ、桃の節句のしつらいに。
また、お造りの貝合せをイメージした向附皿に盛りつけ、八寸に雛人形を模した小鉢を取り入れるなど、料理にも今の時期だけの器が使われていました。
「桃の節句の器は、1年のなかでも今の時期しか使えませんし、干支のものは12年に1度しか出番がございません。それでも、季節や節句の器やしつらえを楽しみ、宴席を持つことは食文化として大切なことと考えております」と、主人・田村圭吾氏。
田村氏は、令和元年度文化庁文化交流使を務め、世界の人々の日本文化への理解の深化につながる活動や、外国の文化人とのネットワーク形成・強化につながる活動を展開されています。
「京都は昔から食が文化と繋がっていますが、近年は、全国的にも食が文化として認知されるようになってきています。和食がユネスコ無形文化遺産登録された2013年、京都市では、”京都をつなぐ無形文化遺産”第1号として「京の食文化」が選定されました。
2017年には、文化芸術基本法が改正され、茶道や華道、書道と並び、食文化が文化芸術の領域に加わり、2020年には文化庁参事官(食文化担当)が設置されました。
さらに、2022年には、京料理が国の登録無形文化財に登録されました」。
この日の料理には、菜の花や木の芽をつまに使った甘鯛の吸物や、ふきのとうの佃煮を添えた鱒の木の芽焼きなど、初春の食材がふんだんに使われていました。そして、焚合には、「京料理 萬重」の名物、鯛のあら煮が登場しました。
「祖父の代の時に出したら、常連さんからまた食べたいというお声が多く、今では名物料理となっています。あら煮は京料理ですか?とおっしゃる方もいらっしゃいますが、そもそも京料理と日本料理の違いはご存じでしょうか。
京料理は日本料理のなかの一地方料理です。『○○を使わなくてはいけない』とか、確固たる規定があるわけではありませんが、『京都の料理人が京都で手に入る食材を使って作る料理』と、称されることが多いです。
京都にいると、暮らしの中で、四季や節句、京都らしさを感じることができ、京料理からは、その京都独特の文化を感じることができます。ただ、何十年京都に暮らしていても、それらを感じ取れなかったり、勉強をしていないと、京料理を作ることができないと思います」。
参加者の方々は、田村氏の話に熱心に耳を傾け、伝統的な京料理に舌鼓を打ち、日本の伝統文化への理解をより深めることができ、盛況のうちにイベントは幕を閉じました。