イベント情報
開催日 | 2024年3月9日(土)18:00〜 |
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開催場所 | 京・宇治 抹茶料理 辰巳屋 |
参加人数 | 14名 |
和食ユネスコ無形文化遺産登録10周年を記念し、文化庁「食文化振興加速化事業」の一環として、登録無形文化財「京料理」と共に育まれてきた文化や歴史を体感いただくイベントを実施。
今回の会場は、日本を代表する茶所であり、源氏物語ゆかりの地としても知られる宇治。「京・宇治 抹茶料理 辰巳屋」は1840年に茶問屋として創業。大正2年に料理屋に転身し、現当主・左聡一郎氏で8代目を数えます。
「京料理=京都らしい料理と言われることが多いですが、私が得意なのは宇治らしさです。ここは京都市ではなく、京都府宇治市であり、京都市内とはまた違った趣や魅力があります」。
「京・宇治 抹茶料理 辰巳屋」は90年余り前から、京料理に宇治の抹茶を取り入れた独自の「抹茶料理」を始め、「お茶を食べる」という新しい食文化を築いてきました。この日登場した名物料理、抹茶豆腐は、大豆を水に漬けることから始まり、豆乳を搾り、上質な抹茶と出汁を合わせ、にがりで固めるまで、完成までに3日を要するそう。そのほか、八寸には筍の木の芽和えや三色団子、春子南蛮漬けが出されるなど、「走り」の食材がふんだんに使われ、春の訪れを感じる内容でした。
「日々、京料理を作るなかで、大事にしているポイントがあります。まず1つ目は、器。器は料理の一部と言われるぐらい重要です。そして2つ目は、旬と季節感。旬の食材を取り入れ、見た目からも季節を感じてもらえるように仕立てます。3つ目は、おもてなし。予約の電話を受けた時からお客様の気持ちをくみ取るように意識しています。4つ目は茶道。私も15年ほど勉強させてもらっていますが、相手のことを一番に考えたり、物事一つ一つに意味があったり、京料理と茶道の精神は近い部分があると思っています。
さらに、料理人は、味にたどり着くまでに、食材、食感、彩り、香り、しつらえ、バランスなど、さまざまなことを考えています。料理をただ作るだけでなく、思考を巡らせ、配慮して完成する、これが、歴史があり、文化性の高い京料理というものだと思っています」。
今回のイベントでは、お抹茶が運ばれ後に、その日、接客を担当してくださった女将のお話も聞くこともできました。
「おもてなしで一番大事にしていることは場の雰囲気を和ませることです。緊張しながら食事をいただいても、何を食べているかわからなくなってしまいます。顔合わせなど、緊張していらっしゃる席は特に、どう私どもがほぐそうかと考えますね。仲居もそうですが、調理場や洗い場など、店全体、みんなでお客様が笑顔で帰っていただくことを一番の目標にしております」。
参加者の方々は、主人や女将が大事にされているおもてなしの心を感じ、和やかな顔で帰路につかれました。