イベント情報
開催日 | 2024年3月10日(日)12:00〜 |
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開催場所 | 玉屋 かも川店 |
参加人数 | 13名 |
和食ユネスコ無形文化遺産登録10周年を記念し、文化庁「食文化振興加速化事業」の一環として、登録無形文化財「京料理」と共に育まれてきた文化や歴史を体感いただくイベントを実施。
全11軒の料理店で開催され、今回の「上賀茂 玉屋 かも川店」が最後の回となりました。
イベントは、「上賀茂 玉屋」5代目若主人、北波誠氏の挨拶から始まりました。
「今回は、和食ユネスコ無形文化遺産登録10周年を記念したイベントですが、10年前に登録された際、私はワーキングホリデーを利用し、カナダの和食店で働いていました。当時、一緒に働いていた日本人の料理人の方々と『和食が世界に広まってくれるのはうれしい』と、とても喜んだことを記憶しております。
日本に戻ってからは、京都の料理店で修行し、家業に入りました。今回のイベントに協力している日本料理アカデミーは『正しい日本料理を海外に広めていく』という目標と信念を持っていて、私もそれに共感し、6年ほど前に入会させていただきました」。
「上賀茂 玉屋 かも川店」は、京都最古の神社のひとつである上賀茂神社のほど近く、賀茂川沿いに位置しています。本店は、「社家」と呼ばれる上賀茂神社の神職を代々務める家が並ぶ通りにあり、明治中期、仕出し店として創業しました。
「創業時は、店の中には調理場しかなく、婚礼や法事の際に出張料理という形式で出向いていました。後に宴会場を作り、会席料理を出すようになったのは戦後からです。今でも地元の方の利用が多く、仕出し会席料理やお弁当、祝鯛姿焼などのご用命を受けており、特にだし巻きは持ち帰りでも人気を得ています」。
今回のコースにも、ぐじ(甘鯛)の焼き物に自慢のだし巻きが盛り込まれていました。また、筍ごはんには上賀茂で受け継がれるすぐき漬けが添えられていたり、上賀茂で歴史を紡ぐ料理店の味を堪能することができました。
「上賀茂神社との付き合いも深く、正月や葵祭の際には、お弁当や神様に献上する神饌料理を作らせていただいています。平安時代から始まった21年に一度行われる最大の神事、式年遷宮の際も神饌料理を作らせていただき、神官の方々が神様と共に食事をしてお祝いする餐膳も担当しています」。
日本料理の原点は感謝と祈りの心を持って神様に供える神饌と言われ、その中でも京料理は、京都の歴史や文化、風土を背景に育まれたと言われています。
今回の会では、春の料理をいただきながら、京料理を形成する神饌料理と仕出し文化について深く学ぶことができました。