「誰でもできる著作権契約マニュアル」 第2章 2. (3)

(3)契約書例

<1> 「著作権契約書作成支援システム」の出力例

 (リアルタイムでの利用と録音・録画物の利用を分けて規定した契約書例)

契約書

 山田花子(以下「甲」といいます。)と○○センター(以下「乙」といいます。)とは、「ピアノでつづる日本の風景」への甲の出演とその実演の利用に関し、以下のとおり契約を締結します。

第1条(出演の依頼)

 乙は、甲に対し、乙が主催する以下のイベントに出演することを依頼し、甲はこれを承諾しました。

(1) 日時:平成○年○月○日 ○時○分
(2) 場所:○○市民センター大ホール
(3) イベントの名称:「ピアノでつづる日本の風景」
(4) 出演の内容:ピアノの演奏
第2条(実演の利用許諾)
甲は、乙が甲の実演をイベントの記録として保存するために録音・録画等収録することを許諾します。ただし、乙はその録音録画物を、複製を伴わずに乙の内部において鑑賞する場合、及び本契約で別に定める場合を除き、甲の許諾を得ずに利用することはできません。
甲は、乙が、甲の実演の様子を写真に撮影することを許諾します。
甲は、乙が甲の演奏を、演奏と同時にリアルタイムで次のように利用するか、または第三者に利用させることを許諾します。
(1) 市役所正面ホールで上映等すること
(2) インターネット(○○市ホームページ)を通じて配信すること
(3) △△ケーブルテレビジョンを通じて放送・有線放送すること

第3条(報酬の支払い)

 乙は、甲に対し、第1条に定める出演の報酬および第2条に定める実演の利用許諾の対価として金○○円(消費税込み)を平成○年○月○日までに支払います。

第4条(実演する作品の著作権処理)

 甲の実演において第三者が著作権を有する著作物等を利用する場合は、乙が乙の責任でその利用許諾を得て使用料を支払う等の必要な権利処理を行います。そのために、甲は、実演するすべての作品について正確な作品名、作家等著作権者の名称、その他必要な情報を事前に乙に提供しなければなりません。

第5条(写真の撮影) 

 乙は、イベントで実演する甲を撮影した写真を、次のように利用するか、または第三者に利用させることを許諾します。

(1) 印刷物への掲載(報酬は第3条の報酬に含みます)
(2) インターネット上のホームページへの掲載(報酬は第3条の報酬に含みます)
 ホームページの名称:○○市ホームページ
 掲載期間:平成○年○月○日まで
第6条(録音・録画)
甲は、乙が乙の記録のために収録した録音・録画物を次のように利用するか、または第三者に利用させることを許諾します。
(1) インターネット上のホームページへの実演の録音または録画のアップロード(報酬は第3条の報酬に含みます)
 ホームページの名称:○○市ホームページ
 掲載期間:平成○年○月○日まで
(2) 甲および乙の関係者へ有償または無償での配布(報酬は第3条の報酬に含みます)
(3) 一般への配布・販売(報酬は別途支払います)
(4) 放送・有線放送(報酬は第3条の報酬に含みます)
 放送・有線放送局名:△△ケーブルテレビジョン
乙は、前項の利用にあっては必要な範囲で編集して利用することができます。ただし編集にあっては、甲の名誉・声望を傷つけないように配慮します。
本条第1項の利用を行うにあたって、著作権者等権利者の許諾が必要な場合は、乙が乙の責任で権利処理を行うこととします。
甲または乙がこれら以外の利用をしようとする場合は、甲と乙とで協議して、利用の可否、態様、報酬の額等を決めることとします。

第7条(氏名表示)

 乙は、甲の実演の利用に際し、公正な慣行にしたがって甲の氏名を表示しなければなりません。

第8条(協議事項)

 本契約に定めのない事態が生じた場合は、甲と乙とで誠意をもって協議の上、解決にあたります。

 この契約を締結した証として契約書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、それぞれ1通を保持します。

平成    年    月    日

甲  住所            
   氏名           印
乙  住所            
   氏名           印

<2> リアルタイムでの利用と録音・録画物の利用をまとめて規定した契約書例

契約書

 山田花子(以下「甲」といいます。)と○○センター(以下「乙」といいます。)とは、「ピアノでつづる日本の風景」への甲の出演とその実演の利用に関し、以下のとおり契約を締結します。

第1条(出演の依頼)

 乙は、甲に対し、乙が主催する以下のイベントに出演することを依頼し、甲はこれを承諾する。

(1) 日時:平成○年○月○日 ○時○分
(2) 場所:○○市民センター大ホール
(3) イベントの名称:「ピアノでつづる日本の風景」
(4) 出演の内容:ピアノの演奏
第2条(実演の利用許諾)
甲は、乙又は乙が指定する者が甲の実演に関して次に掲げることを行うことを許諾する。
(1) 甲の実演を録音及び録画すること
(2) 甲の実演の様子を写真に撮影すること
甲は、乙又は乙が指定する者が甲の実演をリアルタイムで(演奏と同時に)次に掲げる方法により利用することを許諾する。
(1) 市役所正面ホールで上映等すること
(2) インターネット(○○市ホームページ)を通じて配信すること
(3) △△ケーブルテレビジョンを通じて放送・有線放送すること
甲は、乙又は乙が指定する者が第1項に基づき録音及び録画したもの(以下「録音・録画物」という)を次に掲げる方法により利用することを許諾する。
(1) インターネット上のホームページへアップロードすること
 ホームページの名称:○○市ホームページ
 掲載期間:平成○年○月○日まで
(2) 甲及び乙の関係者へ有償または無償で配布すること
(3) 一般へ配布・販売すること
(4) 放送・有線放送すること
 放送・有線放送局名:△△ケーブルテレビジョン
甲は、乙又は乙が指定する者が第1項に基づき撮影した写真を次に掲げる方法により利用することを許諾する。
(1) 印刷物へ掲載すること
(2) インターネット上のホームページへ掲載すること
 ホームページの名称:○○市ホームページ
 掲載期間:平成○年○月○日まで
第3条(実演家人格権)
乙又は乙が指定する者は、前条の実演の利用にあたっては必要な範囲で編集して利用することができる。但し編集にあっては、甲の名誉・声望を傷つけないように配慮するものとする。
乙又は乙が指定する者は、甲の実演の利用に際し、公正な慣行にしたがって甲の氏名を表示しなければならない。
第4条(対価)
乙は、甲に対し、第1条に定める出演の報酬及び第2条に定める実演の利用(第2条第3項(3)の利用を除く)の許諾の対価として金○○円(消費税込み)を平成○年○月○日までに、別途甲が指定する銀行口座に振り込む方法で支払う。振り込み手数料は乙の負担とする。
乙は、甲に対し、第2条第3項(3)に定める実演の許諾の対価として別途協議の上決する額を支払う。

第5条(実演する作品の著作権処理)

 甲が第1条の実演において第三者が著作権を有する著作物等を利用する場合は、乙が乙の責任で第1条の実演及び第2条に定める実演の利用についてその利用許諾を得て使用料を支払う等の必要な権利処理を行う。甲は、乙がかかる対応を適切に行えるよう、実演するすべての作品について正確な作品名、作家等著作権者の名称、その他必要な情報を事前に乙に提供しなければならない。

第6条(その他)

 本契約に定めのない利用態様については、事前に甲と乙とで協議して、利用の可否、態様、対価等を決めるものとする。

 この契約を締結した証として契約書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、それぞれ1通を保持します。

平成    年    月    日

甲  住所            
   氏名           印
乙  住所            
   氏名           印