「誰でもできる著作権契約マニュアル」 第2章 5. (1)

(1)対象

 ここでは、主催者が、シンボルマークデザイン、キャラクターデザイン、標語、歌詞(県歌、市歌、校歌、社歌など)を公募し、その中から作品を一点採用し、利用するための募集要項の書式に関して説明します。

コラム 「募集要項」と「著作権契約」
 シンボルマーク等を公募して、その中から作品を一点採用する場合、募集の趣旨からみて、主催者が入選作品をどのように利用しようとしているのかは容易に想像できますし、応募者も承知していることが多いと考えられます。
 しかし、最近は、著作権など権利の帰属に関する関心が高まってきていますから、主催者としては、採用作品の著作権の帰属や利用行為について応募者から了解を得る契約をしておくことが適切です。
 通常、著作物の利用方法やその条件については、著作者との間で協議をした上で契約書を作成することが多いわけですが、公募で作品を募集する場合には、応募者と個々に契約を交わすよりも、あらかじめ募集要項に利用方法や条件等を明示しておく方が合理的であり、これによって事後の争いが避けられる場合もあります。
 主催者が利用するシンボルマーク等の公募の場合、入選作品の著作権の譲渡をあらかじめ募集要項等に示しておき、それを了解した上で応募してもらうようにしておくと、後日の利用の都度契約書を取り交わす必要がなくなります。
 このように、募集要項は厳密には契約書とはいえませんが、契約書と同様の効果があるものと考えてよいと思われます。